JR茅ヶ崎駅南口から南へ約200メートル、茅ヶ崎市立図書館隣地の閑静な住宅街に佇む緑豊かな「高砂(たかすな)緑地」では、例年2月上旬に早咲きの梅が咲き始め、園内に植樹された50本の梅が春の訪れを告げます。梅は3月上旬まで楽しめます。
高砂緑地とは
明治時代から昭和初期にかけ茅ヶ崎には海水浴や避暑地として別荘がいくつも建てられました。
高砂緑地の一帯は、オッペケペー節で有名な人気新劇俳優の川上音二郎・貞奴夫妻が明治35年頃に住まいを構え、「萬松園」と名付けました。緑地に残された石の井戸枠は川上別荘のものと伝えられています。
大正時代になると、財界で活躍した原安三郎氏(元日本火薬株式会社会長)の別荘「松籟荘(しょうらいそう)」となり、南欧風の洋館や日本庭園を持つ、茅ヶ崎でも有数の別荘地として知られるようになりました。
昭和59年、敷地を茅ヶ崎市が購入し往時の別荘地の景観を残す緑地公園として、市民の憩いの場となりました。
松籟庵とは
高砂緑地内、日本庭園の一角に建てられた茶室・書院が「松籟庵」です。松籟庵には紅梅3本と白梅16本があります。
スーパーチェーン長崎屋の創業者として知られ、長年茅ヶ崎に住んだ岩田孝八さんが、母親が亡くなった折りに「茅ヶ崎市に末永く残る有形物を」と市に1億円を寄贈をしたことを受け、日本庭園の整備と合せて平成3年文化の日に開館しました。茶室は裏千家の代表的な茶室である又隠(ゆういん)を、書院は表千家の松風楼を模しており、本格的な茶事を嗜むことができます。庭園は純日本式で、松林を主体とした園内には三重の塔(薬師寺型)・池・石灯籠などが配置されています。