「南国の果実」として知られるパッションフルーツの八王子市内での出荷が今年も始まった。「八王子産」を浸透させるべく、八王子市農業協同組合(JA八王子)の部会のひとつ「JA八王子パッションフルーツ生産組合」らが生産。猛暑の影響に負けじと出荷作業に精を出している。
16農家がタッグ組む
パッションフルーツは2007年頃から市内の一部の生産者がつくり始めたとされており、その後「JA八王子パッションフルーツ生産組合」が13年に発足。現在は若手農業後継者などを中心に16農家が生産している。高月町の石川農園が苗を栽培しており、それを組合内の農家で大切に育てるのだ。
生産者の1人、浜中園(犬目町)では「少し遅め」の出荷がスタートしていた。
パッションフルーツはゼリー状の実と種が詰まっていて、甘酸っぱい味とかぐわしい香りが特徴的。沖縄県や鹿児島県など、主に温暖な地域で栽培される。
同園では毎年リピーターによる予約注文が一定数あるといい、同園の浜中俊夫さんは「この果実の良さは何といっても香り。味もさることながら、化粧箱を開けたときに広がる独特の南国の香りに魅了されるのではないか」と自信を持って話す。
同園は主にニンジンなどの野菜を生産しているが、約1500平方メートルの敷地に400本ほどのパッションフルーツを栽培。小さいものは80グラム、大きいものは120グラムほど。糖度は一般的に16・5度から高いもので18・5度くらいだ。収穫がピークを迎えるこの時期は、つるが重なり太陽の光を遮らないように剪定したり、逆に当たりすぎて実が傷んだりしていないかチェックに余念がない。
猛暑は味方?
最高気温が30度以上の日が15日連続で続いた7月の八王子。南国のフルーツであるため暑さが好影響を及ぼすと思われがちだが、浜中さんよると、「果実は甘くなるが暑すぎると受粉がうまくいかず、実の数自体が減ってしまう」という。受粉は浜中さんが行っているが、猛暑により受粉する前に花がしおれてしまったり、実がうまく育たないことがあるのだ。
市内の学校給食にも登場するなど、この10年間で市場での認知度は向上してきていると感じるが、聞き馴染みがなく「まだまだ食べたことがない人もいる。特に高齢の方など、一度チャレンジしてみて」と浜中さんは呼びかける。
同園のものを含め、JA八王子園芸センター(犬目町)やJA八王子 経済センター ふれあい広場(大和田町)、道の駅八王子滝山(滝山町)などの直売所で販売される。出荷は8月中旬から9月中旬くらいまでとなっている。