「アカメガシワ」は春先、表面が鮮やかな赤色をした新葉(赤い毛が密生)を広げます。万葉集には「ヒサギ」とあり、「ヒサ」はヒョウタンを意味し、ヒョウタンの葉に似ているためです。「カシワ」は器にすることで、古くから祭礼の折に「御菜を盛る葉」(五盛葉・飯盛葉)として利用されてきました。今でも地方によっては、お盆の供物を乗せたり、送り盆の精霊船に団子を乗せて流したりしているところがあります。
アカメガシワは葉を食害する昆虫を防ぐために、アリを用心棒に雇っています。葉の基部にオレンジ色をした突起物(蜜腺という)から、アリの好物である蜜とグリコーゲンの固形物を分泌し、葉を食べに訪れる昆虫を吸蜜の邪魔者として追い払うので、結果的に用心棒役になっています。更に赤い新葉の表面全体に赤い毛を密生させて、紫外線や昆虫の食害から守っています。またこの毛は食害防止だけではなく、昆虫の足に絡みつき、皮膚を傷つけたり弱らせたりする効果もあります。なお、毛は成長と共に次第に抜けていきます。
花は雌花・雄花が別々の株に咲きます。