「要援護者5名、全員の無事を確認しております」。9月14日、北見方公民館広場で行われた北見方町会の防災訓練。民生委員児童委員が町内の一人暮らしの高齢者宅を安否確認で回り、担当ごとに報告した。地震を想定した同訓練では、町会内のその他被害情報の収集・報告も実施。住民ら114人が参加した。
その後、参加者は「消火訓練」「救命・救護訓練」「給食・給水訓練」など各コーナーを体験。消火訓練に参加した女性は「消火器はやってみたら意外と簡単だったので、やはり家にあった方が良いと思った」と語っていた。同町会の藤原忠興会長は「住民の防災意識の高さも感じられたので、今後も浸水被害の経験を生かし町会で取り組んでいきたい」と話す。
台風被害の経験、反映
同町会では近年、ポータブル発電機や組立トイレ、食料、土嚢など防災備品を拡充。背景にあるのは、5年前の深刻な台風被害だ。多摩川沿いに位置する同地区では、川の水位が上昇して雨水処理能力を超えた内水氾濫により床上浸水や停電が発生。車や住宅が水に浸かるなど多数の被害が出た。小学校の避難所は満員状態となり、公民館を急遽避難所として開設。町会で協力し10日間、炊き出しも行った。
この時、藤原会長が痛感したのが「助け合い。そのためには、横の繋がりや連絡体制が不可欠」だということ。避難所運営や炊き出し、浸水による家具等の災害ごみの扱いなど、地域で協力が必要なシーンは多岐にわたる。例えば「水が引いた後の畳は、ドロドロで大人4人でやっと持てる重さ」といい、個人間での繋がりも重要となる。
こうした経緯から、町会では役員の連絡体制を整え、すぐ情報共有を図れるように。同時に「いざという時に助け合うためにも、住民一人ひとりが地域で繋がりを持ってほしい」と藤原会長。
同町会では、町会加入はもちろん、高齢者対象の「長生会」「さつき会」や「子ども会」のみの参加も歓迎。「手伝えなくても町会について知って参加してもらうだけでもいい。ぜひ活用を」と呼び掛けている。