横浜の桜名所として知られる根岸森林公園に隣接する根岸競馬記念公苑・馬の博物館。馬と人との交流によって生まれた文化や歴史、美術など、馬に関する日本唯一の博物館です。
苑内にはポニーセンターがあり、生きた馬を飼い養う様子も展示の一部として位置づけ、8品種11頭の馬が暮らしています。
馬とふれあえるポニーセンター
馬の博物館の入館料は100円とお手軽な上、小・中・高校生は30円で、土曜は無料になります。毎週土曜はポニーセンターで13時30分から「にんじんタイム」があり、無料で馬に人参をあげたり記念撮影をしたりと、ふれあうことができます。さらに第1・3日曜は「乗馬デー」として、入館券をセンターに持っていくと、馬車に乗ったり、ポニー乗馬(幼児)や引き馬乗馬(小学生以上)を体験することができます。
ポニーセンターの馬は、展示の位置づけでもあるため、ポニー以外にもサラブレッドなど大きさや毛色が違うさまざまな品種が飼われています。中には、愛媛県今治市の指定文化財にもなっている野間馬など、3品種の日本在来馬。サラブレッドでは2009年天皇賞で優勝したマイネルキッツもおり、子どもや競馬ファンにも親しまれています。
馬のお世話はセンター飼育員のほか、土日祝日は小学5年生から高校3年生のメンバーからなる「愛馬少年団」が活動し、イベントのお手伝いなどもしています。
根岸競馬の歴史を知る
根岸森林公園一帯はかつて「根岸競馬場」がありました。1867(慶応2)年、日本最初の洋式競馬が行われた場所で、戦前の1942年に幕を下ろすまで競馬が行われていました。その歴史を今に伝える遺構が、根岸森林公園の簑沢地区にある旧一等馬見所です。
一等馬見所とは4500人を収容した競馬スタンド。設計は大正から昭和にかけて横浜に名建築を残したJ・H・モーガンによるもので、関東大震災後に建てられました。今も残る3つの塔は7階建に相当する高さで、貴賓室へ向かうエレベーターが設置されていました。
館内に隠れた魅力 休憩スポットも
馬の博物館の管理運営は日本中央競馬会(JRA)の外郭団体である公益財団法人馬事文化財団が行っており、府中の東京競馬場内にはJRA競馬博物館もあります。
博物館では年に6回ほど企画展を行っています。テーマは歴史や考古のほか、美術、馬の生態などさまざま。4月21日からは人気ゲーム『ファイナルファンタジー』のキャラクターデザインで知られる天野喜孝さんの個展が、JRA競馬博物館と共同開催されます(6月24日まで)。
学芸員でもある総務部企画広報課・伊丹徳行さんおススメのスポットは体験コーナー。馬の視野体験スコープ、耳の動きや鳴き声で馬の気持ちがわかるマシーン、馬力測定器など、近隣の幼稚園や学校の見学コースとしても人気です。
館内には展示だけではなく休憩室があり、疲れたらここで一息。持ち込みで飲食することもできます。馬に関する絵本やおむつ替えができるトイレもあり、小さな子ども連れにもぴったりな休憩スポットです。