中谷戸インターチェンジそば、八王子バイパス脇にある打越弁財天(打越町)では、白ヘビの柄をあしらった絵馬が年に1回、5月に行われる例祭の日にだけ授与されている。
弁財天は弁天様とも呼ばれる七福神のひとりであり、金運、開運、商売繁盛のご利益をもたらす神様として有名で、白ヘビは弁財天の化身とも言われている。
同弁財天から約650mほど離れており、同弁財天を管理する梅洞寺(打越町)の富岡孝宗住職によると、八王子ではこのヘビを御神体とした弁財天信仰に、古くからの伝統産業も関わっているという。
繭を守る神様
かつて織物の街として、養蚕業で栄えた八王子。丹精込めて育てた繭をねずみに荒らされてはたまらないと、ねずみを退治してくれる救世主として白ヘビを御神体とする弁財天信仰が盛んだった。
なかでも打越弁財天は、鍵水より始まる絹の道(シルクロード)に最も近く、市内はもとより、関東圏から多くの信仰を集めていたという。そのような言い伝えをもとに、同弁財天では100年以上前から、絵馬の絵柄は白ヘビとなっている。同弁財天は通常無人であるため、年に1回、5月3日に行われる例祭の日にだけ授与を行っている。
保存会が手入れ
同弁財天の清掃などを行っているのは、1985年に近隣住民らで結成した保存会(小山拓南会長)だ。定期的に清掃や草刈りを行い、維持管理に努めている。
義父から引き継ぎ、3年前から会長になった小山会長は、「毎年例祭には1000人近くの人が来る。今年は巳年なので、例祭ではなく大祭として、大いに盛り上げていきたい」と話している。富岡住職は、「今年も授与するのは5月の祭時になるが、ご興味のある人はぜひお越しください」と呼びかけた。