いつ起きるかわからない災害に対して三師会と連携する藤沢市。行政として市民を守ることを掲げる取り組みの現状はどうなっているのか。医療の観点から健康医療部長の齋藤拓也氏に聞いた。
災害時に藤沢市が展開する救護体制を教えてください。
「藤沢市地域防災計画における医療救護計画に基づき、三師会の協力を得て、地域の診療施設や地域救護病院等で負傷者を受け入れ、市内の医療提供状況をみながら、必要に応じて応急救護所も開設します。市民病院や神奈川県等とも連携して情報収集を行い、地域の医療現場からの声を拾い上げ、必要な支援を届けるための調整を行います。また、避難所の衛生環境や、避難生活による二次的な健康被害を防ぐための支援体制についても構築していきます」
医師会、歯科医師会、薬剤師会との連携はどのように。
「各団体に災害対策本部が設置され、それぞれの役割を担っていただく中で、連携の取れた救護活動のためには綿密な情報共有が重要となります。通信インフラも被災し、状況が悪いところほど、被災状況やSOSの発信が難しくなることも想定されますが、いざという時に必要な支援を必要なところへ届けられるよう、平常時においても三師会や関係団体との情報共有・連携の機会を持ち、備えていきたいと考えております」
連携体制の維持、強化への取り組みは。
「昨年9月に政府主導で実施された大規模地震時医療活動訓練には、三師会の皆さまにも参加していただきました。訓練への参加をとおし、実際に顔を合わせ、今後の災害対応における課題について共有することができ、非常に有意義な経験となりました。こういったことの積み重ねが、連携体制の維持・強化につながると考えております。今後も国や県主導の大規模な訓練だけでなく、行政や各団体が実施する訓練に参加しあい、日ごろから顔の見える関係づくりに努めていきたいです」
また、今後、市が取り組みたいと考える災害時の救護体制があれば教えてください。
「発災時、保健・医療・福祉分野において活動を行う支援チームが多様化し、増加しています。そういった外部の支援チームと効率的な連携・協働が可能となる体制についても、検討を進めたいところです。また、現在の救護体制については、様々な訓練での経験や、実際に災害対応を行った自治体の記録などを検証し、三師会とも協議を重ねながら、より現状に即した救護体制となるよう、見直しを重ねていくことが大切だと考えています」
自助として市民が命を守るためのポイント、またメッセージをお願いします。
「日頃からの備えと心がけで、被害を最小限にすることができます。とりわけ、大規模災害においては行政による初期対応を満遍なく行うことは難しく、行き届くまでにある程度時間がかかってしまいます。食料・飲料水や簡易トイレなど、皆に共通して必要な物資はもとより、赤ちゃんや女性、高齢者、基礎疾患がある方など、それぞれの生活に欠かすことのできない日用品や医薬品がある場合は、それらも併せて備蓄をお願いいたします。市民の皆さま一人ひとりがいまいちど防災についての意識を高めていただけますと幸いです」