たんまち福祉活動ホームから、なにやらにぎやかな笑い声が…。中では様々な楽器を手に仲間と演奏を楽しんでいる方々の姿が。
今回は、横浜市神奈川区で活動中の音楽クラブ ドレミの会を取材してきました。
ドレミの会は、知的障害や発達障害の20歳~40歳代の方とその親御さんのグループ。毎月2回(第2、第4木曜日)音楽療法士による音楽療法を中心に活動しています。
音楽療法とは…
心身の障害の回復、生活の質の向上、問題行動の改善などに向け、音楽を意図的・計画的に使用すること。子どものための音楽療法では、発達の促進やコミュニケーション力を育てることを主な目的とします。
現在は8人のメンバーが通い、各自ができることや特性に応じた活動を実践。打楽器、民族楽器、手・足拍子などを曲に合わせて奏でます。音楽療法士の井岡さん、三輪さん、筧さんの3人がメンバーの状況を理解しながら対応しています。
例えば、自閉症のメンバーがいるグループは、一つのテーマを毎回積み重ね、少しずつリズムに合わせるなど雰囲気に慣れるように指導を進めます。大きな音が苦手なメンバーはヘッドフォンをつけたり、リズミカルな曲でも楽しめる場合には合奏したりなど、メンバーが音楽の深みを感じることができるプログラムとなっています。
自宅では楽器を思いきり鳴らすのは難しいですが、自由な表現ができる場でプロの指導と配慮のもと、チャレンジできるという安心感があることを感じました。
笑顔のセッション
取材当日は、ボール送りの活動からスタート。ピアノ伴奏に合わせてボールを渡します。渡す際は「相手に合図をして」が大切。和やかな雰囲気で進みました。
次はラッパや太鼓、木琴やトライアングルなどの楽器を使って、曲に合わせて様々なリズムで楽器を演奏。最初はシンプルで単純ですが、徐々に難易度を上げていきます。
失敗したときは頭を抱えて悔しがりながらも、上手くいくと大きな拍手で喜び合います。その後は、それぞれが楽器とリズムの担当を決めて、伴奏に合わせながらみんなで一つの曲を完成させました。
最後は、輪になって歌ってお別れ。あっという間のセッションに「もう終わっちゃうの?」「まだ帰りたくない」といった声が上がりました。
- 皆さんが心も身体もほぐれ、「できた!」という喜びを感じていました。その喜びを仲間、親御さん、講師のみなさんも「●●さん上手だった」と分かち合っていることも、楽しさの秘訣なのでしょう。
自分の居場所として
保護者にとっても拠り所
メンバーは、親御さんやガイドヘルパーさんと通っています。親御さんたちに発足当時のことを伺いました。
子どもの放課後などの過ごし方を考えている中、音楽療法が障害のある人たちに良い影響を与えると知り専門の先生を招きドレミの会はスタートしました。椅子に座っていることから始め、返事・待つなど個々に合わせ工夫された活動の積み重ねが各自の中で蓄えられ今の活動に。「なるべく明るく生きたいと思い、息子も楽しそう。安心して参加しています」
また、お互いの体験談が参考になり、家族以上に相談できることもあり、今では親御さんにもドレミの会が大切な居場所になっているそうです。
音楽を通して広がる世界
楽器を触るだけだったのがリズムに合わせて叩けるようになったり、流行歌に興味を持つようになったり、「家庭では見せない我が子の一面を、ドレミの会で発見することもある」ようです。
また、作業所に通ったり近所のコミュニティカフェに参加したり、グループホームで暮らしていたりと、それぞれのペースで毎日を送り、ドレミの会に集まって心と身体をほぐしています。
仲間やその家族、支援者との関わりが、多様なコミュニティとつながり、お互いの気持ちをより豊かにしていく。だからこそ、ドレミの会はみんなの居場所となっています。
楽しく、のんびり成長しあう
音楽療法士のみなさんにもお話を伺いしました。
「楽しいのは大前提として、毎回のセッションでテーマを持ち、お互いが成長できるように心がけています」と口を揃える3人。実は毎回の様子は動画で撮影し、参加者たちの反応を振り返って次回以降の指導に活かし、音楽療法士としての技術も磨いているとのことでした。
「できないではなく、どうやったらできるかを考えながら、新しいチャレンジも盛り込んで。次回を楽しみにして、元気に通ってくれるのが一番のやりがいです」
取材を終えて
前向きに挑戦する参加者の皆さん、細やかな配慮で支える先生方、温かく見守る保護者の皆さん。何より全員が楽しそうに活動する姿が印象的でした。
「一度見学したいという方は、是非来てほしい!」「障害があってもなくても、仲間として活動してくれる方が増えると嬉しい!」と話すメンバー。「のんびり」「アットホーム」なドレミの会、みなさんも一度参加してみては?
問い合わせ:音楽クラブ ドレミの会☎︎045-473-0439