緑化フェアが終わった今だからこそ
花と緑の祭典として毎年開催されている「全国都市緑化フェア」。2024年10月19日~11月17日まで、2025年3月22日~4月13日まで、川崎市を会場に「全国都市緑化かわさきフェア」が全国初の2期制で開かれ、市内3会場に延べ160万人以上が全国から訪れました。
「一般の方だけでなく、他自治体、全国の造園業界の方々が視察に来て称賛していただけたことが、うれしいですね」。そう話すのは、武蔵新城に拠点を構える㈱井上植木・井上雅博社長です。
- 同フェアで植物の調達、植栽施工、花壇の維持管理に至るまで、すべてを取りまとめる植物調達協議会の会長として準備期間から開催まで奔走。川崎市造園建設業協同組合の理事長も務め、JAセレサ川崎、川崎市公園協会と連携し、生産者や市民との協働も図って同フェアを成功に導きました。
「これだけ多くの方に緑化フェアに足を運んでもらい、花と緑に関心を持っていただけた今だからこそ、皆さんに緑にふれあってほしい。川崎市でも、緑化フェアをレガシーとしてイベントなどを企画していくそうなので、緑と造園の専門家として連携していきたい」と話します。

緑化フェアの富士見会場

緑化フェアの生田会場
緑あふれる街に
緑化フェアでは、市民参加型の花植えのワークショップなども企画。「ボランティアの方も含めて、市民の方が多く参加していただけた」と、市民の緑への関心の高さに手応えを感じているそうです。「自宅でプランターに季節にあった花を植えるだけでいいと思う。癒しにもつながるし、玄関先に置いてもらえるだけで市内の景観も変わってくる」と呼び掛けてます。
公共施設だけで取り組んでいても、緑化への取り組みには限界もあると話します。市民一人ひとりが花や緑を植え、育てることで、緑あふれる街に―。それが緑化フェアのレガシーにつながっていくと信じてやみません。

緑化フェアの等々力会場
樹木の剪定などの相談を
創業74年。親子4代にわたり、公園や道路などの公共施設、個人や集合住宅に関する造園工事などを行ってきました。
「都市化が進み、庭のある家が減ってきている一方で、限定空間での庭園づくりが増えてきている。業界として担い手不足が課題」と造園業界の現状を話します。大学生のトライアル雇用や女性社員も雇い入れるなど、後進育成、技術の継承に注力している井上社長。「働く環境も含めて、造園業の魅力を発信していきたい」と展望を語ります。
また「庭のある家が減っているため、手入れをどこに頼めばいいかわからないという人も増えている。昔から付き合いのある造園業者がいる方はいいのですが、代替わりをしている方だけでなく、木を切りたいけどどうしたらいいかという方も多い」と井上社長は感じているそうです。
- 今回の緑化フェアでは、市造園建設業協同組合で「緑の相談窓口」を設け、そうした相談を受付。「手入れの仕方で緑の育つ環境、見栄えも変わる。お困りの際には、ぜひお近くの組合会員にご相談を」と呼びかけています。

公共施設や、個人宅、集合などの造園工事を行っている
川崎市内30社が加盟
理事長を務める川崎市造園建設業協同組合は、川崎市の公共事業に関わる市内30社が加盟する組織です。総務委員会、事業研修委員会、技術対策委員会と3つの委員会を設けています。事業研修委員会では安全大会や、都市緑化、日本庭園などの各地の研修視察などを定期的に企画し、会員の研鑽を積んでいます。
また技術対策委員会では、会員の造園技術を磨くための研修や、川崎市の依頼を受けて市職員への剪定や整備の講習会も行っています。「今後も、業界団体として、市内の緑化、造園に寄与していきたい。そのためにも、専門家として知識や技術をレベルアップしていきたい」と抱負を述べています。