開館15周年
2025年で開館15周年を迎えた明治大学平和教育登戸研究所資料館(多摩区東三田)の来館者が、10万人を突破した。10万人目は都内の私立高校に通う男子高校生だった。
明治大学平和教育登戸研究所資料館は、戦時中に旧日本陸軍が偽札や化学兵器などの秘密兵器を研究・製造していた「登戸研究所」の史実を伝える施設として、2010年に開館した。明治大学生田キャンパスにある。
2025年5月16日 来館者10万人達成
来館者が10万人に達したのは5月16日。前日の15日に9万9995人となったため、スタッフらは「明日で達成する」と確信。16日は開館前から山田朗館長や大学の公式キャラクター「めいじろう」もスタンバイし、来館者を迎えた。
午前10時の開館と同時に入場したのは、校外平和学習のために訪れた都内の私立高校の生徒たちだった。スタッフは間違えないよう、来館者一人一人にパンフレットを手渡し、16日の「5人目」の分にあらかじめ付箋を貼っていた。
「おめでとうございます。10万人目です」
スタッフが祝福すると、男子生徒は驚いた様子だったが、山田館長と「めいじろう」が「祝来館者10万人達成」と書いたパネルを手に登場すると、状況を理解し、笑顔を見せたという。
登戸研究所が手がけた兵器の一つに「風船爆弾」があるが、2024年11月から続く企画展「風船爆弾作戦と本土決戦準備-女の子たちの戦争-」が好評という。2024年5月、風船爆弾をモチーフにした小説が発売されヒットした影響もあり、来館者が明らかに増加したという。2023年11月の9万人達成から1年半で10万人達成となった。
山田館長は「これからも戦争と平和について多角的に、わかりやすく伝えていきたい」とコメントした。
企画展が延長【8月30日まで】
現在開催中の同企画展の会期がこのほど、3カ月延長されることが決まった。5月31日(土)で終了の予定だったが、8月30日(土)までとなった。
企画展は旧日本陸軍が「決戦兵器」と位置付け、1944年から45年にかけて登戸研究所で全力を挙げて研究開発していた「風船爆弾」について、風船づくりのために各地で動員された女学生たちの証言を交え、作戦計画の経緯から顛末までを詳しく解説している。

会期が延長された企画展のチラシ
「風船爆弾」に注目集まる
2024年11月20日に始まり、会期は半年間の予定だったが、市内外から来館者が絶えず外国人も増えるなど、予想外の反響が続いているという。2024年5月に発売された小林エリカさんの小説「女の子たち風船爆弾をつくる」(文藝春秋)が毎日出版文化賞を受賞するなど広く注目を集めたことで、作品で描かれた「風船爆弾」への関心も高まったようだ。
山田朗館長による展示解説も追加で4回、開催される(要予約)。日曜日から火曜日は休館。
詳細・問い合わせは同館【電話】044・934・7993。