こんにちは、RareA編集部のIです。突然ですが、小田原城に行ったことはありますか?かくいう私は生粋の神奈川県民ですが、学生の頃に一度だけ。しかも、本丸広場で小田原城をバックに写真を撮った以外は記憶がない…。
そこでリベンジ!神奈川のお出かけスポットを紹介すべく、約15年ぶりに小田原城址公園に行ってきました。意外と知られていない魅惑の正規登城ルートを利用し、『はじめての小田原城址公園』をテーマに、難攻不落の城と言われた小田原城を目指し、ガイドさんと巡ってきました。※情報は2018年4月現在のもの
ガイドさんとなら ぐんと面白く巡れちゃう
小田原城址公園の見所は、小田原の達人に案内してもらうのが一番!ということで、城内ガイドをはじめ、小田原観光や歴史ツアーなどを企画運営しているNPO法人小田原ガイド協会へ直行。南入口・バス駐車場に案内所を発見。
おはようございます。先日お電話差し上げた者です。予約はしていないのですが、これから、案内していただけますか?
はいはい、ご連絡いただいた方。城内案内ですね、ガイドをお連れするので少々お待ちくださいね。
桜の季節やゴールデンウィークなどの繁忙期は、ガイドさんの予約も殺到します。確実にガイドしてもらいたい場合は、2週間前までの予約(1,000円)をおすすめしますが、当日現地でガイドさんが確保できれば無料で案内もしてくれます。
特に、初めて訪れる場合は、何をどう見て良いかわからないもの。せっかく来たのだから、小田原城址公園の見所や歴史など、レア情報を聞きながらの方が絶対面白く巡れますよ!
さて。今回お世話になったのが、小田原ガイド歴5年の秋山正雄さん。定年を機に始めたというガイドボランティア。
日々勉強の秋山さんは先日、北条氏が町全体を囲むように築いた約9㎞に及ぶ防衛ライン「小田原城総構(そうがまえ)」を、2日間かけて一周する協会初企画のガイド役を務められました。実に壮大な任務!すごい。
正規登城ルートで難攻不落の城・小田原城を体感
さあ、いよいよ入城というところで。秋山さんが立ち止まった。
小田原城には、正規登城ルートっていうのがあるんですよ。ご存知ですか?
せ、せいきとじょうるーと??勉強不足ですみません。存じ上げません…。
正規登城ルート/約20分 1.馬出門(うまだしもん)→2.銅門(あかがねもん)→3.住吉橋(すみよしばし)→4.常盤木門(ときわぎもん)→5.小田原城・本丸広場
正規登城ルートとは、お城の正面入口から計4つの門をくぐり、小田原城を目指す正式コースのこと。小田原駅から徒歩10分、御堀端通り沿いの赤い橋「学び橋」(まなびばし)から入城する人が多いそうですが、実は正式なルートは、その少し先!
学び橋の正体は、利便性向上のために、明治時代に掛けられた旧城内小学校(現二の丸広場)のために作られた通学路なのでした。
なるほど、早速勉強になりました!では、その正規登城ルートを使っていざ本丸広場を目指すとしましょう。
1.「馬出門」高さ6mに馬もびっくり?
スタートは、見上げるほど高い門が特長の「馬出門」(うまだしもん)。
パカッ、パカッ、パカッ、パカッ―。当時、小田原城に訪れる際、将軍や武士たちが馬に乗ったままでも入城できるようにと6.3mの高さを確保。
門をくぐると出迎える美しい桝形の空間は、お堀の水に突っ込まぬよう、馬のスピードを抑えるためのスペースでした。
ちなみに、馬出門には、もう一つ門があるのですが、そちらは5.3mと1m低い。早くも正規登城ルートならではの楽しさを実感。途端に面白くなってきたぞー!
憩の広場「馬屋曲輪」
馬出門を抜けると…急に開けた世界が。馬を休ませるための休憩スポット「馬屋曲輪」(うまやくるわ)です。人も馬も天守閣を目指す鋭気をここで養ったのでしょうね。
広大なエリアに佇むレトロな建物は、小田原ガイドボランティア協会の事務所です。
さらに右奥へ進んでいくと、芝生で囲まれたエリアを発見。ここは、「御茶壺曲輪」(おちゃつぼくるわ)と呼ばれるもので、京都宇治までお茶を買い出しに行く東海道中、宿泊するための蔵のほか空の茶壺が保管されていたスポットでした。
「住吉橋」あっぱれ!小田原城のマツで復元
馬屋曲輪からさらに住吉橋(すみよしばし)へ。かつてお堀下の発掘調査では、マツの木で作られた脚橋が出土したという住吉橋。1990年に復元するも老朽化にともない2018年3月、28年ぶりにリニューアル。小田原城址公園で今最も旬なスポットです!
橋脚柱3本には、小田原城のマツが使われています。今回棟梁を務めたのは、日本伝統建築技能認定者で文化財建造物木工者である芹澤毅さん。父・芹澤伸明さんは90年の復元工事の際の棟梁。そう、なんと親子二代でこの住吉橋が生まれ変わっていたというエピソードが隠されていました!
渡ってみた感想は?突撃インタビュー:お堀にかかる小さな橋ですが、ここを馬で通ったのかと思うと歴史を感じました。木の清々しい香りがしました。
2.「銅門」熱湯も落ちてきた難所!?
さぁ、正規登城ルート、3つ目の門。北条五代で築き上げた、「難攻不落、無敵の城」と評された小田原城を感じさせるのがこの「銅門」(あかがねもん)です。
小田原城天守閣が目の前に臨め、将軍やお客さんのためにより華やかに演出するために、扉の飾りには合計3トンもの銅を使用されていたそう!
ん??銅門を潜り抜けると、「内部特別公開」の看板が。躊躇なくいざ潜入!
特別公開は週末土日に開催中。もちろん観覧無料です。ぞろりぞろりと階段を登っていく人たち。
思わず走り出したくなるほど中は広いですね。煌びやかな印象を持った銅門ですが、潜入してみると、実は敵攻めスポットであることが判明。
武器の保管庫として活用され、敵に石や鉄砲、矢を放つ場所でもあったのです。
石が無くなると、熱湯を落としていたとか!うわ~、さすが無敵の城仕掛け。
石落としの部分を下から見上げてみました。これには、敵は気が付きませんね。
3.「常盤木門」小田原の繁栄願い込め
春は観梅スポットでもある、赤い橋「常盤木橋」を渡り切ると、いよいよラストの「常盤木門」(ときわぎもん)に到達します。高台にある、直線上には相模湾を臨む、気持ちの良い見晴らしスポットでもあります。
この常盤木門。常緑樹のように、一年中緑豊かに小田原が栄えますように、と壮大な願いが込められた門。その常盤木門の目の前にそびえるのは、小田原市内最大というマツの巨木。
さらに、先ほど渡った常盤木橋前には、樹齢約520年のイマヌキが。すごい!確かにその願い通り北条家は栄えましたね。
4.ゴール 小田原城本丸広場
さあ、ついに小田原城天守閣がある本丸広場に到着!青い空と白壁のコントラストが美しい小田原城が出迎えてくれました。正規登城ルートは、大人の足で徒歩約20分です。
まとめ
いかがでしたか。正規登城ルートを辿れば、歴史が得意じゃない、お城に興味がないという人もきっと難攻不落・無敵の城である小田原城の面白い世界がわかるはず。ぜひ、ボランティアガイドさんとともに小田原城址公園を巡ってみてください。
「正規登城ルート」パンフレットが完成
先日、お堀端通り商店街振興組合加盟店による「小田原城正規登城ルート」パンフレットが発行されました!お堀端通り商店街の各店舗で手に入ります。お店情報も掲載されており、まち歩きにもおすすめです。