2024年度に川崎市の地域文化財に指定
久本の古刹、龍台寺(樋口智亮住職)の本堂天井を飾る「六天女来迎図」が、8月中旬から2026年3月まで補修されることになった。この絵は、2024年度に本堂などとともに市の地域文化財に指定されており、本堂が建てられた当初から存在するもの。
樋口住職によると、この絵は江戸時代ごろの画家、土佐香雪源治隆とその弟子たちの作品とされており、1769年の龍台寺本堂の完成に合わせて描かれた。
しかし、長年の歳月により色落ちやくすみといった経年劣化が進んでおり、近年では日光や高温、湿気の影響も顕著に表れていた。そのため、樋口住職は「貴重な絵を次世代に繋ぎたい」という思いから、大規模な修繕を決意したという。
工事に合わせ移動
「六天女来迎図」は、複数の和紙に描かれた絵を天井で貼り合わせて作られているのが特徴。6人の天女がそれぞれ楽器を持ち、楽しげな雰囲気を醸し出しており「故人が安らかに極楽浄土へと誘われますように、という思いが込められています」と樋口住職は語る。
当初、6人の天女のうち、2人が本尊の上に設置されていたが、1992年に実施された本堂の拡張工事により、仏像の位置が本堂の奥へ移動することになった。その際「天女が離れるのは好ましくない」と判断されたことから、現在の位置に再度設置されることになったという。
補修は2026年3月10日ごろまで行われる予定で、文化財専門の修復を行う「(株)文化財ユニオン(東京都文京区)」が担当する。
樋口住職は「今回の補修を通じて、天女様方の穏やかな微笑みを、皆様にお届けできることを願っております」と語っる。また、副住職で樋口住職の息子の樋口智章さんは「天女図の見学は現在できません。修復後にお披露目する計画を立てていますので、それまでお待ちください」と呼びかけている。