湘南エリアのグルメやスポットを、動画を通じて紹介するSNSアカウント「リョウマ」。取材対象の魅力を深く掘り下げる洞察力や親しみやすい語り口で、多くの人から支持を集めています。発信しているのは、株式会社情熱の風の代表を務める上野龍馬さんです。
「地域の熱狂をマーケティングで作る」を掲げ、地域の魅力を伝えるメディアを運営する一方、企業のSNS運用や採用、集客なども支援しています。上野さんのアカウントは約5万人のフォロワーを持ち、茅ヶ崎市内の店舗や施設も数多く紹介してきました。
SNSを通じて上野さんが届けたいものは、単なるお店や商品の情報ではありません。その奥にある人の思いや、地域に眠る可能性です。

コロナ禍で見つけた、自分の武器
小田原市出身の上野さんは、高校時代までサッカーに打ち込み、大学へ進学しました。大学1年生だった2020年、新型コロナウイルスの影響で授業がオンライン中心になります。自宅で過ごす時間が増えるなか、上野さんの中に生まれたのは「このままではいけない」という危機感でした。
「これから就職するというときに、何か自分なりのスキルを持たなければいけないと考えました」
最初に取り組んだのはプログラミングでした。しかし、黙々とパソコンに向かう作業は、もともと人と接することが好きだった上野さんには、あまり向いていなかったといいます。
そこで始めたのが、好きだった筋力トレーニングに関するSNSでの発信です。試行錯誤を重ねながら投稿を続け、約1年間でフォロワーはおよそ6万人にまで増加したといいます。自分の発信が誰かに届き、「この情報を参考にして痩せました」といった反応が返ってくる。その経験から、上野さんはSNSの可能性にのめり込んでいきます。
「自分の発信を見てもらえることもうれしいし、それによって誰かの生活が良くなることもうれしい。自分と相手、両方の幸せが重なる感覚がありました」
SNSは、自分を表現する手段であると同時に、人の行動を変える力を持つもの。現在の活動につながる原点が、ここにありました。

フィットネスメディアでの発信を通じ、誰かの役に立つ喜びを知り、発信の魅力にのめり込んでいったといいます。
「一人の消費者」として、正直に伝える
上野さんの投稿の特徴の一つが、感じたことを率直に伝える姿勢です。依頼を受けた投稿であっても、すべてを無条件に褒めるわけではありません。実際に足を運び、自分で食べ、体験したうえで、一人の消費者として感じたことを言葉にします。
「今は見る側の目も肥えています。広告だから褒めているということは、すぐに伝わってしまう。だからこそ、自分が思ったことを丁寧に伝えることが、視聴者からの信頼につながると思っています」
もちろん、厳しい意見を発信するときには、事前に店側へ確認し、表現にも配慮します。その根底にあるのは、批判することではなく、より良い方向へつなげたいという思いです。フォロワー数や再生回数だけを追うのではなく、地域の人に信頼される発信を続けること。その積み重ねが、上野さんのメディアを育ててきました。

実際に店へ足を運び、自分の言葉で伝えることで、広告的な投稿との差別化を図っているといいます。
まだ知られていない魅力を、届く形に変える
2025年2月、上野さんは株式会社情熱の風を設立しました。現在はSNSの企画や撮影、編集、投稿、運用に加え、ウェブサイトやランディングページの制作、Googleマップを活用した集客支援、広告運用など、デジタルマーケティングを幅広く手掛けています。なかでも近年、依頼が増えているのが企業の採用支援です。介護職や職人、ドライバーなど、人手不足に悩む地域企業を訪ね、その会社ならではの魅力をSNSで発信します。
「地域の会社には、社長の人柄が魅力的だったり、地域に根差した活動をしていたり、給与や条件だけでは分からない良さがあります。それを整理して、必要としている人に届く形にするのが僕たちの仕事です」
実際に、SNSでの発信を続けたことで、半年間に約10人の採用につながった事例もあるといいます。会社名の「情熱の風」にも、上野さんの思いが込められています。良い商品や技術を持っていても、伝え方が分からない企業。可能性があるのに、「自分なんて」と一歩を踏み出せずにいる人。そんな人たちの背中を押し、心の中にある情熱を動かす風を送りたいと考えています。
「誰にでも可能性はあると思っています。良いものを持っているのに、やり方が分からないだけなら、僕たちが伝える部分を手伝えばいい。人が『自分にもできる』と思う瞬間が、すごく好きなんです」

地域の若い力が、地域を発信する
情熱の風では、業務委託のメンバーに加え、地元の大学生をインターンとして受け入れています。募集には約50人の応募があり、取材時には藤沢、茅ヶ崎、平塚、小田原などに暮らす約10人の学生と、新たな取り組みを始めようとしていました。学生たちが発信したいのは、自分たちが生まれ育った街の情報です。
「茅ヶ崎のグルメを発信したい」「地元で何かを始めたい」。そうした思いを持つ学生に、企画や撮影、編集の方法を教えながら、それぞれの地域を紹介するメディアを育てていこうとしています。さらに将来は、地域の学生と地域企業をつなぐ役割も担いたいと上野さんは話します。地域のことをよく知る若者が地域の魅力を発信し、その発信が企業や店、人との新しい出会いを生み出す。SNSを入口に、地域の中で人や仕事が循環する仕組みを描いています。

情熱の風ホームページより。「地域の熱狂をマーケティングで作る」を掲げ、企業の集客や採用をWebマーケティングで支援しています。
青春の思い出が残る茅ヶ崎
現在は藤沢を拠点に活動する上野さんですが、茅ヶ崎は高校時代からたびたび訪れていた、青春の思い出が残る街です。
仲の良い友人が茅ヶ崎方面に住んでいたことから、イオンシネマ茅ヶ崎で映画を観たり、友人たちと自転車で竜泉寺の湯へ出かけたりしていました。免許を取得してからも足を運ぶなど、茅ヶ崎で過ごした時間は、上野さんの青春の一ページとして心に残っています。
現在はSNSを通じて、茅ヶ崎の飲食店やホテルなども紹介しています。公式サイトには、8HOTEL CHIGASAKIやCHIGASAKI JUICE、ゆうまん丸食堂などとの取り組みも掲載されています。
高校時代の楽しい記憶が息づく茅ヶ崎は、今では発信者としても関わりを重ねる、大切な場所の一つになっています。
湘南で一番有名なメディア会社へ
上野さんが掲げる目標は、「湘南で一番有名なメディア会社になること」です。湘南でSNSやメディアの企画を始めるとき、最初に「情熱の風へ相談しよう」と名前が挙がる存在を目指しています。
ただし、活動の舞台はオンラインだけではありません。
長く続けてきたサッカーの経験を生かし、子どもたちがスポーツを通じて自信を得られるイベントや、地域の人たちが実際に顔を合わせて交流する場もつくりたいと考えています。
上野さんは、かつて湘南ベルマーレのジュニアユースにも所属していました。現在は湘南ベルマーレフットサルクラブや地域企業と連携し、スポーツ、住まい、SNSを掛け合わせた地域づくりにも取り組んでいます。
「SNSは好きですが、僕は人と直接会う方が好きなんです」
SNSは、あくまで人と人をつなぐための手段です。店を訪ね、働く人の話を聞き、地域の学生と向き合う。画面の向こうにいる一人ひとりとの関係を大切にする姿勢が、上野さんの発信に温度を与えています。地域に眠る情熱を見つけ、届く言葉や映像に変えていく。上野さんが吹かせる新しい風は、これから茅ヶ崎の街にも、さまざまな出会いや熱気を運んでくれそうです。

リョウマ(上野龍馬さん)
株式会社情熱の風ホームページ:https://jonetsunokaze.co.jp/
インスタグラム(リョウマ | 本物の湘南・小田原グルメ&スポット紹介):https://www.instagram.com/shonan_ryoma/
インスタグラム(りょう先生@女性のおうちダイエット):https://www.instagram.com/ryosensei_diet/

















