三浦市は6月2日、5カ所ある市内すべての海水浴場開設を中止すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大が完全に収束しておらず、利用客が集中する海辺での感染防止策が難しいと断念。県内で昨年25あった海水浴場の開設は今年、ゼロとなった。
三浦市内では、三浦海岸・大浦・和田・荒井浜・横堀の5カ所で、海水浴場を開設。昨年は台風による甚大な被害を受け、期間途中で終了したが、2018年度は約58万人が訪れたという。
各海水浴場組合や市などは、新型コロナウイルスの動向を注視しながら協議を続け、開設も視野に模索してきた。
ガイドライン遵守は困難
しかし、県は海水浴場の運営に対して、「感染防止対策ガイドライン」を先月末に公表。密集・密接・密閉の”3密”を避けるための措置として、「砂浜に一定間隔の目印設置してソーシャルディスタンスの確保」や「海の家の完全予約制」、「更衣室やシャワー室を個室または十分な広さの確保」などを設定した。遵守した上での開設が難しいことや、人が集中することで例年以上の来場客数が想定されるため、各組合は今夏の開設を見送ったという。
近隣の飲食店経営者は、安全確保のためと理解を示しながらも、避けられない観光産業への打撃にため息をついた。
「OTODAMA SEA STUDIO」全公演中止
また、逗子海岸で2005年にスタートし、三浦海岸に舞台を移して2017年から毎夏行われているライブハウス「OTODAMA SEA STUDIO」も、予定していた8月30日までの全公演中止を決定した。
4月の「ウインドサーフィンW杯横須賀・三浦大会」にあわせて、ライブ会場となる建屋が春先に作られ、現在はバリケードで囲われている状態だが、今後の動きは明らかになっていない。
花火も開催断念
9月12日に開催予定だった「三浦海岸納涼まつり花火大会」も、今月1日に中止が発表。
今年は東京五輪・パラリンピックに伴い、従来の8月から1月遅れでの開催をめざして準備が進められていたが、昨年は市内外から8万8千人が来場し、「住民や来場者の健康を最優先に、安全・安心な運営が困難」として断念に至った。40回の節目を迎え、海水浴と並ぶ、三浦の夏の風物詩の中止に地元から残念がる声が聞こえた。