今夏、新型コロナウイルスの影響で神奈川県内の海水浴場が開設されない中、県や市は海を訪れた人の安全確保に向けた対策を進めている。平塚市は、例年の海水浴場の開設地に遊泳自粛を促す看板を設置するほか、ビーチパークのスタッフの増員、市内のサーフショップ経営者らでつくる組織「平塚サーフユニオン」(早稲田暁生代表)に監視協力を依頼するなどし、不測の事態に備える構えだ。
本格的な夏シーズンの到来に備え、海水浴場として例年利用されている「湘南ベルマーレひらつかビーチパーク」内やその周辺には、黄色の下地に「遊泳はお控えください」などと書かれた看板が並ぶ。市によると、来訪者の目につくように今後も数を増やしていくという。ビーチパークのスタッフの数を増やして監視の目を強化するするとともに、放送でも注意を呼び掛けていく。その他、民間警備会社による夜間の見回りや、県が手配するライフセーバーのパトロール等も合わせて行う。
また、今年は「平塚サーフユニオン」にも海辺の監視の協力を要請する。ショップの店員らがサーフィンの指導中などに救助の場面に遭遇した際に随時対応する。
一方で課題も
海水浴シーズンにのみ開放する臨時駐車場は今年は設けない一方、海岸公園駐車場は利用制限がなく、日によっては多くの来場が予想される。また海や浜辺への立ち入り制限もなく、密になるなどの可能性も否めない。
サーフユニオンの早稲田代表は「海に行くのはいいが、危険が隣り合わせということを常に認識してほしい」と言い、「もし海で不安なことなどがあれば、近くのサーファーに相談してほしい」と呼び掛ける。
例年は7月の海の日の前後から8月下旬まで、ビーチパークを市の海水浴場として開設している。だが今夏は、県が示すウイルス感染予防に関するガイドラインに基づき開設が困難と判断。5月27日に中止を決めた。
通常、海岸は県が管理するが、夏季は市が海水浴場を設置・管理している。それに伴い、利用者の安全確保のためライフセーバー等の手配を毎年行ってきた実情があり、今年も一部で対応を継続した。市みどり公園・水辺課の内田正道さんは「海水浴場を開設しないとはいえ、市民が事故に遭わないよう最大限努力したい」としている。