地域に根差した文化財を新たに顕彰する川崎市地域文化財の第4回選定結果が2021年11月9日に発表され、市内で31件、中原区からは2件が選ばれた。第1回からの総計数は190件、区内では33件。
今回、中原区からは「本村(ほんむら)稲荷神社祠」(上小田中6丁目)と「下小田中の齋の神の碑」(下小田中6の24の1)が選ばれた。
「本村稲荷神社祠」
「本村稲荷神社祠」は有形文化財(建造物)として登録。祠に刻まれた記録によると1901(明治34)年に再建されたもの。かつて稲作が行われていた同地では毎年、五穀豊穣を祈った初午の行事を大切にしてきた。初午の日は朝から参拝をし、農家が持ち回りとなって各家庭で食事や酒を振る舞っていたという。10年前からは、近隣に住む世話人らが中心となり神明神社の会館で行うように。形を変えながらも、伝統行事を今に残している。
「下小田中の齋の神の碑」
江川せせらぎ遊歩道の側にある「下小田中の齋の神の碑」は有形民俗文化財に。江川が整備される以前、6丁目あたりは洪水に悩まされていたことなどから、新年に齋の神(どんど焼き)を行い、無病息災を祈ってきた。地域の子どもたちが各家庭から正月飾りを集めて回り、大人たちが燃やしていたという。石碑は地域の有志で1971(昭和46)年に建立。齋の神が行われていた歴史を伝えている。
2018年度から市が選定する地域文化財は、未指定の貴重な文化財を幅広く記録しようと市内の寺社や団体、施設などから募集している。