スマートフォンやパソコンなどで情報を得ることが難しい高齢者などにも地域情報を提供しようと、横浜市金沢区の西柴団地自治会(山田佳一会長)で実証実験が行われた。
この取り組みは、同自治会と同区福浦に横浜技術センターを構える三愛電子工業(株)(寺井一郎代表取締役社長)が連携したもの。同社が持つ情報発信の仕組みや機材を活用し、自治会員に音声で情報を提供する試みだ。
使用した機材は、同社のグループ企業が開発した情報受信端末「キューブ」。インターネットと電源を接続するだけで利用が可能。音量調節のつまみと聞き直しボタンのみの仕様のため、どんな人でも容易に操作ができる。情報はパソコンから入力することで、インターネットを通じて各端末へ配信。端末に情報が届くと随時音声で読み上げられる。音声が届いている状況は光の点滅で知らせる仕組みで、ボタンを押すことで聞き直すこともできる。
新たな伝達手段に
実証実験では同自治会員の10人の自宅に、2024年1月22日から2週間にわたってキューブを設置。同自治会のホームページに掲載しているような防犯情報や自治会便りの発行といった情報、西柴地域ケアプラザの協力で講座情報などを配信した。
実験期間中にキューブの情報をもとにケアプラザの講座を知って参加した人もおり、「ボタン一つで聞き直しができるのが良く、音声も聞きやすいと好評だった」と山田会長。端末への情報発信役を担った同自治会の金田頼明さんは「自ら情報を得ることが難しい人への新しい発信の手段になりうると思う」と話す。
今後、同社は実験参加者へアンケートを行い、その声をもとに改良を重ねて実用化を目指す。寺井社長は「情報を受けた方が、どう動くかが大切。多くの人に使ってもらえる仕組みにしていきたい」と話した。