境川沿いを散策中、ふと川面に動く鳥が目に入った。持ち合わせた双眼鏡で見るとカイツブリであった。
本種は全国の池や湖沼、流れの緩やかな川などに生息する留鳥で、カイツブリ科に属し体長26cmと同属の中で国内最小の鳥である。体色は雌雄同色で、全体に茶褐色、幼鳥は淡褐色で嘴(くちばし)の根元に黄白色の部分があり、瞳は黄色い。夏の繁殖期には顔から首にかけ赤褐色に変わる。
水草や葭(あし)の茎等に絡めて浮き巣を作る。殆ど飛ばず水面を走るように移動する。足には水かきがあり、潜水が得意で水中で小魚、甲殻類などを捕らえて食べる。
普段は「キリリ」と細い声で鳴くが、繁殖期や水面を低く飛ぶときは「キュルルルル」と甲高い声を発する。
カイツブリの古名は鳰(にお)といい、歌人や俳人に親しまれてきた。かつて琵琶湖には多数生息していた様で”鳰の海”と呼ばれ、高浜虚子が”鳰がゐて鳰の海とは昔より”と俳句に詠んでいる。また、巣は”鳰の浮巣”として俳句の夏の季語になっている。カイツブリは境川ではよく見られ、運が良ければ和泉川でも出会えるかも。
瀬谷区およびその周辺地域の自然環境をよりよいものにして次世代に引き継ぎたいとの願いから生まれたボランティア団体。畑作、水路及びビオトープの生物環境保全や生物観察会、環境保護に関する講演会開催、小学校総合学習や教員研修会への支援等に取り組んでいる。