三輪町の廣慶寺(こうけいじ)で大晦日の31日(火)から新年にかけて、参道に並ぶ108の鐘を参拝者が1つずつ小槌で鳴らしていく「除夜の鐘」行事が行われる。5年ぶりに行われた昨年は400人近い人を集め、各地の寺院と関わる企業担当者は「珍しい。東京都内では唯一と思う」と話している。
1993年から
この行事が始まったのは1993年。先代住職の小堀俊雄さんが「除夜の鐘をつきたい」という檀家の依頼を受け考案したもので、廣慶寺の長い参道を彩ろうと他の寺院を参考に飾り付けた鐘を生かしたという。
参拝者が鐘を鳴らしていく形も別の寺院の様子を見てのことだったといい、小堀さんの後を継いだ現在住職を務める塚田勝三さんは「私がこの寺にやってきた時から始まったもの。当時から多くの方に喜んでもらっている」と笑顔をみせる。
寺院経営のコンサルティングなどにあたっている株式会社エータイ(千代田区)の担当者は「一般的には1つの大きな鐘をみんなで鳴らしていくが、廣慶寺さんの形は全国的に珍しいもの。当社調べでは東京都内では唯一ではないかと思う」と話す。
当日は本堂に向かい総門から入った参拝者らは右手の鐘から鳴らしていき、半分を終えたところの本堂前で塚田さんが祈禱。そして、残り半分の鐘を鳴らしながら総門へ戻る形になるという。
塚田さんによると令和に入ってからはコロナ禍もあり実施してこなかったものの、「地域とのつながりをもちたい」と再開を決め、昨年の大みそかではこれまでよりもPRしたこともあり、400人近い参拝者が訪れたという。
「行事への参加者は減少傾向にあったのに驚いた。これまでは紅白歌合戦が終わる11時45分過ぎにみんなやってきていたのに、開始時間である11時には多くの人で行列ができていた」と塚田さんは笑う。
「お寺を知って」
時代の変化などにより、寺院へ足を運ぶ人が少なくなってきたといわれる昨今。少しでも地域とつながり、皆を喜ばせたいと考えているという塚田さん。「開いていた習字教室を閉めるなど、地域との関係性が薄れるなか、多くの方に立ち寄ってもらい、お寺のことを知ってもらう機会になれば」と話している。
今回の廣慶寺・除夜の鐘は午後11時から翌日1時まで。家内安全や合格祈願、商売繁盛など、それぞれに合わせた祈祷を行ってくれるという。参加は無料で甘酒などの提供もあり。廣慶寺は小田急線鶴川駅から車でおよそ10分(町田市三輪町1120)。駐車場あり。問い合わせはエータイ【フリーダイヤル】0120・19・9402まで。