「そろそろ終わりにしよう。」
そう声をかけると、
「あと5分!」
と返ってきました。
ゲームでも、テレビでも、公園でもだいたい同じです。
5分。
時計を見ます。
まあ、5分くらいなら。
こちらも大人です。待ちましょう。
5分後。
「そろそろ行くよ。」「あと5分!」
おや。
さっきの5分は、どこへ行ったのでしょう。
どうやら子どもの世界では、5分は更新できるようです。
公園でもそうでした。
「あと5分で帰るよ。」「わかった!」
実に良い返事です。
安心してベンチに座ります。
5分後。
「帰るよー。」「これだけ!」
今度は「5分」が「これだけ」に姿を変えました。
何が「これだけ」なのかは、よくわかりません。
滑り台をもう一回。
そのあと鉄棒。
なぜか地面の石を確認。
帰り際にアリまで見つけました。
アリは予定に入っていません。
結局、帰り始めたのは20分後でした。
でも不思議なもので、こちらにも覚えがあります。
子どもの頃、
「もう帰りなさい」
と言われても、なかなか帰らなかったこと。
夕方の公園。
少しずつ長くなる影。
友だちが一人ずつ帰っていって、それでもあと少しだけ遊びたかったこと。
あの頃の「あと5分」も、きっと5分ではなかったのでしょう。
今では5分あれば、メールを返したり、予定を確認したりします。
ずいぶん正確な5分になりました。
「あと5分!」
また聞こえます。
時計を見ると、もう夕方です。
そろそろ本当に帰らないといけません。
「じゃあ、本当にあと5分ね。」
そう言いながら、
この5分は、少しくらい長くてもいいか。
と思ってしまいました。
もちろん本人には言いません。
また延長されますから。
あなたが子どもの頃の「あと5分」は、何をしていた時間でしたか。












