食用八重桜の生産量日本一を誇る秦野市。その一大生産地である千村地区で、八重桜文化と里山の魅力を次世代へつなぐ交流拠点「八重桜の杜」の整備が進んでいます。手掛けるのは、八重桜の塩漬け加工グループ「千村若竹会」代表の加藤菊恵さん。築100年の古民家を修繕するためのクラウドファンディングも実施中です。
加藤さんは11年前、就農のため都内から移住。夫婦で「コトトキ農園」を営み、化学肥料や農薬に頼らない方法で、茶などを栽培しています。八重桜との出合いは、移住した年の4月。生まれたばかりの一人息子を抱えてまちを歩いていると、近所の人が八重桜の摘み取りをしている光景を目にしました。翌年の春、自身も八重桜の塩漬けに挑戦。見た目と味に魅せられ、「もっと関わりたい」と6年前に千村若竹会に入会しました。3年前から代表となり、現在はメンバー3人で地元農家が摘み取った八重桜を買い取り、加工所で塩漬けをしています。「会でも栽培や収穫に取り組み、加工量の確保も行っています」と加藤さんは話します。
また、自身が代表となり、加工所の老朽化という課題に向き合うことに。新拠点を探していたところ、出合ったのが千村にある約1ヘクタールの土地だった。うっそうとした敷地の中、草に埋もれて建つ古民家と枯れかけた八重桜を目にした瞬間、「運命を感じた」といいます。法的課題を乗り越え、2025年4月に土地を取得。「古民家を再生して加工所に」と意気込んだが、衛生面や安全基準を満たす改修には多額の費用がかかることが発覚しました。葛藤を重ねた末、加工所は敷地内に新設し、古民家は交流やイベントの拠点として再生させる決断をしました。
四季の恵みを感じられる場に
一年を通して自然の恵みが広がる敷地を、加藤さんは「千村八重桜の杜」と名付け体験フィールドとして整備を進めています。春の八重桜摘みと塩漬け体験をはじめ、夏の流しそうめんや竹炭づくり、木工体験、秋の収穫体験などを予定。さらに地域の仲間と連携したオーガニック野菜のマルシェも開催する計画です。ゆくゆくは観光客や登山客が立ち寄り、加工場見学や伝統に触れられる場を目指す。「継続的に関わり続けることで『第二の故郷』となるようなコミュニティーを育てていきたい」
古民家の修繕費確保に向けたクラウドファンディングは、目標額150万円に対し8月24日時点で37万8500円が集まっています。期間は9月6日(日)まで。支援額に応じて返礼品が用意されています。加藤さんは「秦野の文化を未来へつなぐため、力を貸していただけたら」と協力を呼びかけています。











