新型コロナウイルス感染症拡大を受け、毎年秋に催され3万人近い来場者を集める区内有数の催し「保土ヶ谷宿場まつり」が中止となることが決まった。中止は31年目にして初。実行委員会の山本昇市委員長は「感染拡大を食い止めるにはやむを得ない措置。一刻も早い事態の終息を願うばかり」と話している。
【2019年の記事】
祭りの歴史
天保12(1841)年には51軒の旅籠で賑わったという歴史遺産を活かした街づくりを展開しようと保土ヶ谷駅周辺の商店主らが企画し、平成時代の幕開けとなった1990年に始まった「宿場まつり」は当初、西口商店街に加え、東口、天王町、岩崎町まで広い範囲で行われ、スポンサー企業も多く集まった。
創成期には行政からの補助金もあり潤沢な予算の中で運営されてきたが、徐々に助成が縮小され01年ごろから「苦しい台所事情」に。10年ほど前には実質的な運営が地元商店街から実行委員会に移行し、現在は25人ほどの有志が中心となり運営を支えている。
準備開始の矢先に
3万人近い人が訪れる区内屈指の催しとして定着している祭の開催へ向け今年も2月から準備を開始。その矢先、横浜港に停泊中のクルーズ船で集団感染が確認されると幹事会は、今秋の開催について「今後の感染状況を見て決定する」とし、例年は2月に立ち上げる実行委員会の設置を見送っていた。
規模縮小模索も
3月には「感染拡大収束後、規模を縮小して開催する」方針を示すなど、開催へ向けて模索を重ねてきたが、その後も収束の見通しが立たない実情を受け、今月になり「苦渋の決断」を下す形となった。