コロナ禍で在宅需要が高まる中、「伝統の和を感じたい」「お部屋で癒されたい」という人に注目されているのが畳。クッション性があり、気軽にごろ寝できる畳は幼い子どものいる子育て世代にも人気。おうち時間が増えたことで、汚れや痛みに気付き、畳の張り替えを依頼する人も増えているそうです。
- 鶴見区生麦にある池谷畳店の池谷智司社長に、畳について教えてもらいました。
創業100年を超える老舗
池谷畳店は、大正2年創業の老舗。4代目の智司さんは、その道20年弱のベテラン。一度はサラリーマンとして働くも、20代半ばに後継として働くことを決め、埼玉で修行を積みました。1級畳製作技能士の資格を持っています。
畳の良さって?
畳は植物の「い草」でできています。このい草、実は暮らしていく時に様々ないい効果を発揮してくれます。
- い草は、呼吸をしているため、部屋の湿度を調節します。これが、畳は冬に温かく、夏に涼しいと言われる秘密です。
- ほかにも、香りによる沈静効果やシックハウス症候群の原因となる化学物質の吸収も確認されており、その効果は〝天然の空気清浄機〟といわれるほどだとか!
- さらには、音を吸収する遮音性もあります。
張り替え時はいつ?

こんな風に擦れて下地が見えてきたら張り替えのサイン
- 日に焼けて黄色くなってきた
- 擦り切れて下地が見え始めた
- 表面を触るとカスが出る
こんな状態になったら、張り替えのサイン。張り替えないでそのままにしていると、先程のい草の良さが発揮されないのだそう。
張り替えには、裏返しと表替えの2種類があり、
- 裏返し=畳表(表面のゴザ)を裏返して貼り直しすること
- 表替え=畳表を新しくすること
裏返しは表替えしてから5~7年以内が目安。それ以降になると、裏返しにしても綺麗でなくなってしまうそうです。
一口に畳といっても様々

茶色の糸は麻
畳は、い草を糸で編んで作ってあります。
糸には種類があり、綿や麻のものだったりと様々です。糸の本数が多く、麻で編んであるものは傷みづらく、丈夫なつくりになっているんだそう。

左は縁なし畳用の畳表、右は通常の畳表
よく見ると畳目が狭いものと、広いものがあります。
畳表には、い草だけではなく和紙やビニール系ポリプロピレン製などもあります。
畳の効果はなくなる部分もありますが、アルコール除菌もでき、お手入れ簡単。傷つきにくいという特徴があります。さらに、沢山の色の種類があるため、インテリアの幅が広がります。

カラーは何千種類もあります
畳のデザイン次第でお部屋の雰囲気をがらっと変えることもできますね。
これは畳目を交互に配置した「市松敷き」と呼ばれるデザインです。もちろん、様々な色を組み合わせて作ることもできます。
丁寧で正確な職人技
お願いして、表替えの一連の作業を見せてもらいました。

新しくつける畳表を準備しています
新しい畳表のサイズを計ってカットしていきます。熟練された正確な手さばきが印象的でした。
丁寧に畳表をはがしていきます。剥がすとこんな風になっているんですね。
機械で新しい畳表を綺麗に縫い付けていきます。
表替えが終わったら、次は縁を縫い付けます。今は機械ですが、昔は手で縫っていたそう。まさに職人技です…
最後にブラッシングをして艶を出し終了です。傷んでいた畳がすっかり新品のような美しい姿に。作業の際に、隙間やヘコミの補修もサービスで行ってくれるので畳表はもちろん、畳自体も滑らかで綺麗な仕上がりになっています。
「綺麗に張り替えてお客さんが喜んでくれたときが一番嬉しいです。達成感を感じますね。適当な仕事をしていると噂になったりしてしまうので、やっぱり地元で長年やっているところに頼むのが安心です。畳以外にも襖、障子などの相談もお気軽に。見積もりは無料で行っています」と池谷さん。
ぜひこの機会に自宅の畳の張り替えを検討してみてはいかがでしょうか。