歯科・医科が連携した医療機関として地域医療に根差してきた神奈川歯科大学附属横浜クリニック。同院のコロナ禍での診療などについて、児玉利朗院長に話を聞きました。
院内の感染症対策
来院時の検温と問診票のチェックを行い、定期的な室内換気、職員の徹底した体調管理、新型コロナウイルスワクチン接種などのあらゆる感染症対策を実施しています。
診療時の感染症対策
診療時にはマスクの着用やソーシャルディスタンス保持、手指消毒、診療室内のゾーニングなどを徹底。特に歯科治療では飛沫を伴う処置が多いですが、治療中の歯の削りかす、金属片、血液、細菌など、目に見えない細かい粉塵(エアロゾル)を吸引してくれる口腔外バキュームの使用をはじめとした治療への不安を取り除くことに注力しています。
連携の重要性
歯の痛みや腫れなどを放置すると重症化や全身疾患にも影響するといわれており、歯周病などに関連した糖尿病、非アルコール性肝炎の発症や、口腔衛生状態の低下で誤嚥性肺炎などを生じることにも繋がります。また義歯を未装着など噛めない状態が続くことは、全身の健康を損なうことも。
- 「歯科治療は生活の質を維持するだけでなく、生活習慣病や認知症などの改善、重症化の予防にもなります。定期的な通院・治療の継続が大切です」と児玉院長は話す。
内科、眼科、耳鼻いんこう科などで構成される医科。例えば歯性副鼻腔炎や睡眠時無呼吸症候群は耳鼻いんこう科と歯科が連携するなど、各分野の専門スタッフが協力しています。中でも内科では、健康診断結果の相談から緊急時対応にあたるプライマリ・ケア(初期医療)と患者にわかりやすい診療を重視。
- 「健診で軽度異常などを指摘されたけど、何科を受診したらいいかわからず不安という方はお気軽にご相談ください」と包括的な健康増進に取り組んでいます。
そのほか認知症・高齢者総合内科外来、難治性腹痛・便通異常(便秘・下痢)外来などの特殊外来といった細かな専門診療も。人間ドック・企業健診などにも引き続き注力しており、
- 「慢性疾患の場合、風邪やケガと違い自力では治癒しないことも多く、気づかないところで基礎免疫力を低下させてしまいます。コロナ禍でも注意を」と促しています。
また同院は近隣の大学病院や総合病院とも連携し、重篤な疾患や手術が必要な場合にも、スムーズに適切な医療を受けられる体制を整えています。児玉院長は
- 「クリニックの迅速性と病院としての医療の質の両立、これが当院の強みです。そのうえで安全な医療体制を整えています。安心して来院して頂きたい」と呼びかけました。
地域との医療連携や広報活動の推進一環としては、地域の方や患者を対象とした市民公開講座を年間約6~8回程度実施しています。講座を通じて歯科・医科の最新情報を発信し、同院医師や大学教員らが、身近な病気やその治療法について分かりやすく解説します。