最近では有名人の公表などで認識が広がりつつある「HSP」。「とても敏感な人」と訳される「ハイセンシティブパーソン」の略称で、子どもの場合は「HSC」(ハイセンシティブチルドレン)と言われます。学校生活がつらくなり、不登校の要因の一つにもなっています。実は子どもの5人に1人がHSCだと考えられています。
セミナーでも大きな関心
ただ、学校現場での認知や支援がまだまだ広がっていないのが実態です。豊かで強い感受性を持つからこそ「学校がつらい」「周りに打ち解けない」と苦しむ小中学生の子どもを、親はどうサポートしたらいいのか、NPO法人青少年育成開発協会のセミナーを取材しました。
- 9月25日、この日は小学生の子どもを持つ母親らが参加し、熱心に耳を傾けていました。
「些細なことを気にするのは欠点ではない。自分のまわりにある『いいもの』にも気づき、深く味わうことができる気質」。そう語りかけるのは講師の同NPOの代表、山本弘明さん(精神保健福祉士、スクールカウンセラー)です。「ただ、まわりに気をつかうので人といると疲れてしまう。大切なことは気づいたことへの対処の仕方」といいます。
4タイプに分類
HSPは4つのタイプに分類されますが(次の図表参照)、共通の特徴として▽物事に慎重で深く考える▽些細な刺激も情報として捉えてしまう▽共感しやすい、人の気持ちがわかる▽5感が鋭い―の4つがあるといいます。
素の自分でいられる場を
山本さんは学校生活での人間関係を説明した上で「本音を抑えていると『作っている自分』に合う人が集まってくる。素の自分を表して本当に自分と合う人と付き合うと楽になれる」といい、「小中学生は名字の音順が近い、帰り道が一緒という理由で友達になろうとするケースが多い。本当に気があう友達、同じ深さをもつ人を見つけることが重要」と指摘します。「例えば、本屋さんとか文房具屋さんとかプラモデル屋さんとか、自分が『いいな』と思う場所に何回も通うこと。そう思える場所には似た感性を持った人が集まりやすい。子どもにこうした環境をつくってあげてほしい」と呼びかけました。
HSCの子どもと向き合うためのヒントとして
「小手先の対処ではなく、ライフスタイルを自分(子ども)の気質に合わせて変化させること。そして『自分(子ども)に必要なことをして何が悪い!』という強い意思を持つことが大切。すぐに結果が出なくても、それが面白いと考え、目標に体当たりしてほしい。きっと道が切りひらける」と語りました。
- 各種教育セミナーを定期的に開催中。日程や内容はホームページをご覧ください。
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