この情報は2021年取材時のものです。
JR東海道線「根府川」駅から歩いて6分。小田原の豊かな自然環境のなかに佇む星槎国際高等学校小田原学習センター(星槎小田原)は、生き生きと学ぶ生徒たちの笑顔で満ちている。
自分の存在が認められる環境
高校3年生の小瀬村美和さんは、中学3年間は不登校だった。「いじめが原因で、人に会うことすら怖かった」と振り返る。そんな人間不信だった小瀬村さんを救ったのが、フルートだったという。鼓笛隊に入って活動するうちに「フルートが生きる意味になった」と話す。
星槎小田原に入学を決めたものの、「最初のころは学校に通えるか心配だった」という。しかし、星槎には、「こうあるべき」と言う大人も生徒も1人もいなかった。「教室をまるで自分の部屋のように使わせてくれて。先生は私の話をまっすぐ聞いてくれました」。
いつしか、音楽好きの仲間とセッションを楽しむように。「自分を認めてくれる人がいるから、私も他者の個性を受け入れられるようになりました」と、学校で仲間と過ごす時間が楽しくて仕方なくなった。
生きる意味だったフルートが、夢になった
小瀬村さんは、志望していた音楽の専門学校に合格。プロのフルート奏者を目指すことを決めた。
「美和ちゃんのフルートの音色は、涙が出ると言ってくれた友達がいて。いじめで辛い経験をした自分だからこそ、今度は人のためにフルートを吹いていきたい。夢を全力で応援してくれる学校だからこそ、しっかり進路に向き合うことができました」
教室の壁がアート作品に
「中学まで学校に行けなかったとしても、通信制という制度により学校に通えるようになる、未来に向かって進路が決まる」
そんな星槎小田原では、さまざまな活動を授業に取り入れている。たとえば、このほど完成した壁画は45時間かけて描かれた超大作だ。「片浦の自然が、星槎の生徒を応援してくれている」という思いが込められている。
地域と共に学び、地域と共に歩む。地域のすべてが学校
農業や漁業、商業など、さまざまな体験ができるのも魅力の一つだ。地域住民や地域企業が先生となり、誰もが学べるコミュニティを広めている。
また、星槎小田原のキャンパスを利用して、「生きる力」の授業を展開。片浦地域の新たな可能性を追求している。
多彩な講師も登壇
アーティストや地元で活動するさまざまな人による特別授業も日常的に行われている。福島県の農家さんとビデオ通話でつなぎ、現状を学んで「自分たちで何かできないか」を考え実践する授業も。
- 開校から4年、生徒一人ひとりの「自分づくり」に向き合ってきた星槎小田原。一度遊びに来てみませんか?