営業企画推進委員会Bでは、RareAの販売促進にむけて営業の好事例を紹介します。
3回目となる今回は、小野寺絵美さん(茅ヶ崎編集室)を中心に茅ヶ崎編集室と茅ヶ崎市が協働で立ち上げた特設サイト『#ちがすき』をご紹介します。
きっかけは『ぱど』
小野寺さんは2020年2月、茅ヶ崎編集室に着任。意気揚々と地域を回るはずでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により緊急事態宣言が発令。営業や取材活動が大幅に制限され、スポンサーの引継ぎもままならない状況になりました。
同年5月ごろ、「今できることをやろう」と小野寺さんは地域情報誌「ぱど湘南版」の紙面チェックを開始。数年分の過去紙面に目を通し、そこで見つけたのがぱどと茅ヶ崎市が立ち上げたサイト「Chigasaki Life Style」でした。このサイトは茅ヶ崎の魅力を紹介するというコンセプトで2019年11月から運営されましたが、通算で7500viewしかなかったそうです。
「予算はほぼ0」
ぱど湘南版が撤退するという情報を知った小野寺さんは団迫副編集長(当時)と一緒に、市企画経営課に「ぱど撤退後のサイトの存続」について確認しました。また、「何とかしてタウンニュースでサイトを引き継いで、もっと多くの人に見てもらえるサイトを構築したい」と、青葉区編集室時代の同僚であるレアリアの石井真理さんに相談。一緒に企画を練り、レアリア内に特設ページとして移設する2パターンのプランを市に提案しました。
- Chigasaki Life Styleは国の補助金を活用しておよそ600万円を投じて作られました。レアリア内で同様のサイトを構築する場合120万円ほどの費用がかかることが判明。さっそく小野寺さんは市に打診しました。しかし、市からの回答は「予算はほぼ0円」というものでした。
『不動産業』に着目
お金をどう集めるか――。
団迫副編集長と小野寺さんが目を付けたのは、地域の不動産業でした。
「不動産屋さんは、市外から一人でも多くの人を転入させたいと考えるはず。その目的を達成するために『茅ヶ崎の魅力を発信するサイト』を作る。その支援をお願いしてはどうか、と考えました」。
茅ヶ崎に住みたくなるサイト、茅ヶ崎を好きになるサイト。茅ヶ崎が好き・・・ちがさきがすき・・・『#ちがすき』の構想がここから始まりました。
サイトのコンセプト
#ちがすきは、市外からの子育て世代の転入・定住促進をはじめ、市民の豊かな暮らしや郷土愛の醸成につなげる、というのをコンセプトに掲げられています。茅ヶ崎の魅力や最新情報をWeb媒体の特性を生かし、写真や動画も交えながら紹介することにしました。
クラファン形式にした理由
レアリア内に特設ページを開設する場合、紙面と同様、スポンサーに「一口いくら」という具合に営業を推進するのが一般的です。しかし、小野寺さんは前例のない「クラファン形式」を選択しました。その理由とは?
「従来のように、当社が一方的に協賛を募るというやり方は嫌でした。地元企業や住民を巻き込みながら、『茅ヶ崎への移住者を増やそう!茅ヶ崎を盛り上げていこう!』という、新たなムーブメントを作りたいと思っていました。皆の力を借りてサイトを継続し、市外からの転入が増える⇒不動産業が潤う⇒地域活性につながる、というリターンを前提に支援を頂くという流れを考えました」。
上記の考え方に沿って編集室メンバーが営業をかけ、結果、12件・120万円が集まりました。ちなみに新規スポンサーは5件、休眠3件を獲得できたそうです。
『日本地域情報コンテンツ大賞』に輝く
- 2021年4月1日、茅ヶ崎ライフスタイルWebマガジン「#ちがすき」がスタートしました。
地域のインフルエンサーを積極的に紹介したり、タウンニュース茅ヶ崎版で度々取り上げたり、戦略的なサイト運営が奏功し、#ちがすきの知名度はぐんぐん上昇。紙面に掲載された記事を月に30本ほど手直ししてサイトに掲載するほか、市職員が手がけたオリジナルの記事などもふんだんに盛り込み、見ごたえあるサイトを実現しました。
製作の加良真理子さんの協力を受けながら妥協のないサイト運営を続ける。この姿勢が高く評価されているようです。それを裏付けるように2021年11月、#ちがすきは「日本地域情報コンテンツ大賞」のWeb部門に読者投票で見事1位に輝きました。
広がる『掲載外』への可能性
すでに茅ヶ崎編集室では、来年度のスポンサー契約更新にも着手。現状の12スポンサーはその多くが更新の意向で、スポンサーの増枠も検討しているそうです。また、#ちがすきのロゴを入れたTシャツやエコバッグ、シールなどのオリジナル商品の売れ行きも好調。当社が目指している掲載外のアップにも大きな期待がかかります。
また、このほど#ちがすき内では、住宅系企業をターゲットにした特集を実施。紙面と比べてRareAの営業は難しいという声も少なくない中、編集室のスタッフの一人は「#ちがすきの中にうちの会社の広告が載るならやりたい、というお声を頂きました。#ちがすきがあって良かった」と話しています。
原動力は『地元愛』
サーフィンを趣味にしていた小野寺さんが海を求めて茅ヶ崎に移り住んだのが、今から10年ほど前。「サイトの構想から立ち上げ、日々の更新まで頑張れるのは、やっぱり茅ヶ崎が好きだから」。#ちがすきが社内外で評価されるのは、小野寺さんをはじめ編集室メンバーの茅ヶ崎愛がサイトを見たすべての人に伝染するからなのかも知れません。(了)