各種施策にSDGsの理念と関連性示す
松田町は2021年度、内閣府から「SDGs未来都市」に選定されました。持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であるSDGs(SDGs:Sustainable Development Goals)ですが、これをテーマに持続可能なまちづくりや地域活性化に取り組む地方自治体は近年、増えています。
この内、特に経済・社会・環境の三側面で新しい価値を生み出そうとしている都市・地域として選定されるのがSDGs未来都市です。選定が始まった2018年度から提案数と提案に対する評価等が考慮され、全国で毎年30程度、21年度までの間に計124都市が選定されてきました。神奈川県の町村では松田町が初選定です!町では、最上位計画である総合計画にSDGsの理念を取り入れ、松田版SDGsとして各種施策との関連性を示し、推進。その取り組みを取材してきました!
未来を変えるためのSDGs視点、それが松田の未来図
松田町は県や国と比較しても少子高齢化が進行しています。特に20~39歳の若年女性人口は2010~2015年の5年間で200人近く減少。町は、このままでは、将来生まれてくるこどもの減少につながると危惧しています。また、人口減少に伴い地域コミュニティの維持が困難になったり、地域によっては限界集落化も懸念されています。
- ポイント 言うまでもなく、人口減少や高齢化は松田町に限ったことではなく、もはや全国的な課題の一つです。しかし、それぞれの自治体が町域も産業も立地も歴史も違うことから、解決法にも絶対的なものはありません。賑わいと雇用を生み出し、働き甲斐を育んでいくにはどうしたらいいか―。松田町なりの未来図が必要でした。SDGsの視点は、まさにこうした将来志向の中で関連づけられていったのです。
脱炭素社会実現へ―。柱は木質バイオマス事業
質の高い学び、災害に強い基盤整備、再エネ利用促進など、町の未来を創る基本目標。その中でも松田らしさがあふれているのが、木質バイオマス事業です。
- ポイント 町健康福祉センターのボイラー等に化石燃料の代替として利用することで二酸化炭素の排出量削減を図るとともに、間伐材の搬出や木質バイオマス燃料の製造といった産業活性化にもつながります。これは2021年4月にゼロカーボンシティを宣言している松田町にとっても推進の柱となります。
職員だけではだめ、意識が全体に浸透してこそ
原木の供給体制強化、薪製造の土場確保、供給先の拡大など、まだまだ課題はありますが一歩を踏み出したことで、脱炭素型の新しい生活様式への転換、エネルギー自給率の向上と省エネ、森林資源の適切な管理と保全といった意識へと職員、そして町民も向かうきっかけになっています。
地域に広がれ、SDGsモデル
こうした取り組みと挑戦は、普段から連携を図っている足柄上地域や神奈川県西地域でも方法と成果を共有できるはず。松田町では積極的に情報を発信することで取り組み自体の普及展開にもつなげていきたい考えです。