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【連載・第8回】たわわや「無理せず人生を楽しむために」

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ラチエン通りから路地を入った住宅街の一角に、そのお店はある。以前から気にはなっていたのだが、木曜日しか開いていない。しかも、開店早々に買いに行かないとすぐに売り切れてしまう。

ふられること数回。ようやくたどりついた「たわわや」のパンは、店主の俵光子さんの言葉通り、「お母さんが作るような、家庭的で素朴な味」だ。

俵さんがたわわやを開業したのは2014年のこと。茅ヶ崎には夢を叶えるために他の地域からやってきた人が多い。俵さんもそんなひとりかと思いきや……。

「パンづくりは好きでしたけれど、まさか、自分がパン屋を開くとは思っていませんでした」

では、なぜ?

「うーん。いろんな人に食べてほしかったし、家族も応援してくれたし、若かったし、勢いかな(笑)」

芹沢にママ友と借りている農地で無農薬の有機野菜を育て、その野菜を使って惣菜パンを作る。冬は大根、ブロッコリー、ほうれん草。夏はトマト、ナス、ピーマン、インゲン。ハーブも自家栽培している。「畑仕事が好きなんです。けっこう広いので、近くの農家さんが大きなトラクターで耕してくれたり、野菜の作り方を教えてくれたりするんですよ」

パンを買いに来たお客さんひとりひとりとゆっくり会話をするのも、小さなお店ならでは。「楽しいことを最優先に、細く、長く、無理せずにやっていきたいんです」

お客さんが殺到しないように、住所は伏せる約束だ。

■執筆者プロフィール

山田清機(やまだ・せいき)

ノンフィクション作家。茅ヶ崎市浜須賀在住、57歳。著書に『東京タクシードライバー』『パラアスリート』『寿町のひとびと』など。

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住所

神奈川県茅ヶ崎市

公開日:2022-03-04

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