市民団体「アートロジ麻生」
麻生区内を流れる片平川の遊歩道脇にこのほど、新たなアートスポットが誕生した。芸術家から、近隣の高齢者や子どもまで、誰でもどんな作品でも展示ができるスペースだ。手掛けるのは、市民団体「アートロジ麻生」(中山周治代表)。「片平から”ご近所アートスポット”を区内や市内に広げていきたい」と意欲をみせる。
全天候型のアートパネル6台
新しくできたアートスポットがあるのは、片平川の富士見橋近く。遊歩道脇にある住宅地用のコンクリート擁壁10メートルの間に、ポスター大の全天候型のアートパネルが6台設置されている。
元高校教員だった中山代表。教員時代に「アートで地域をつなぐプロジェクト」に取り組み、学生や地域からの評判が良かったという。またニュージーランドを訪れた際に、美術展をのぞいてみると、日本の美術館のように高いレベルの作品が展示されているわけではなかった。そこで、プロ・アマ、レベルの高低も関係なく、自己表現できる場所を近所につくろうと、仲間に声を掛け、「アートロジ麻生」を2022年春発足。中山代表は「商業施設でも公共施設でもない場所に、近所の高齢者や子どもの作品を飾る場所を作りたかった。どんな人の作品でも楽しめる場所、受け入れる町があるといいなと思って」と経緯を語る。
どんな作品でも
現在は、片平の70年前と今の写真、地元の美術家・佐藤英行氏が描いた昭和初期の片平俯瞰絵図などを展示。今後は、地元の子どもの書や、片平の養蜂家の写真、障害者の就労移行支援事業所「ラコンテ柿生」の絵画作品、上麻生にある洋菓子店「リリエンベルグ」で使われているイラストなどを展示していく予定だ。「旅先で見つけた絵葉書や、投稿いただいた俳句や川柳なども展示していきたい」と中山代表は展望を語る。
課題も
一方で、オープンスペースなため、紫外線や管理などの課題もある。「まだまだ手探りの状態。アートに興味がある人など仲間も増えてくれるとうれしい」と中山代表。今後の展示情報は、ツイッターやインスタグラムで発信していく。「この場所が地域の憩いの場になってほしい。片平から麻生、川崎へと、ロジアートが広がっていくきっかけになれば」と意欲を見せる。