相模原市中央区上溝の歴史を調査、記録する市民団体「上溝を学ぶ会」と上溝公民館は4月21日、中央区さくら文学賞の大賞を受賞した青井月さん(=人物風土記)や相武電気鉄道の関係者を招き、相武電気鉄道に関する懇話会を同公民館で開催した。
相武電気鉄道は、大正後期に東京都心部と神奈川県中央部を結ぶ構想があった鉄道。横浜線淵野辺駅を起点とし、上溝、田名四谷地区を経て、相模川左岸の久所(現在の水郷田名)を結ぶ区間は1925年敷設免許が認可されていた。しかし、資金に行き詰まり工事は中断。開業に至らなかった幻の路線だ。
上溝とも深い縁があり、同公民館の根岸利昌館長は「上溝や田名地区の青年が、まちの発展に貢献しようと取り組んだ事業だったが、昭和恐慌や戦争の泥沼化で物資が戦費に回り、鉄道を敷く資材不足や労働者が徴兵されていった悲しい背景がある」と説明する。
青井さんは星が丘地区在住。曽祖母が上溝の出身ということもあり、上溝の学ぶ会のメンバーでもある豊島直樹さんが作成している鉄道に関するホームページの資料に興味を持ち、調べているうちに小説の空想が広がるようになった。その後、上溝地区にある浅間神社や妙見橋などを実際に見学し、主人公の会話などのイメージが湧いてきたという。