今回のテーマは「移動販売」
鎌倉市内では、交通が不便で買い物に行くのも大変という地域も少なくない。移動手段の実証実験などが行われる一方で、逆転の発想で「店に行くのが大変なら、店を呼ぶ」という町内会もある。複数の移動販売車が来ることで、住民が便利になるだけでなく、出店者と住民、住民同士、出店者同士の交流が生まれている。
今泉台の北鎌倉台商店街で今年4月にオープンした「サカナヤマルカマ」は、移動販売にも力を入れる鮮魚店。中でも出店頻度が高いのが梶原山町内会だ。高台の遊休地と歯科医院の駐車場を借り、毎週水曜日に魚を販売している。
町内会主体で誘致
急坂の多い同町内会では、移動が困難な高齢者を住民同士で助け合うアイデアを出し、実行してきた。移動販売誘致もその取り組みの1つ。前会長だった加藤洋さんが、今泉台の町内会長との情報交換の中でマルカマのことを知り、昨夏に試験販売を実施。今年6月から定期販売が始まった。
魚のほかにも、新鮮な青果は「久遠(くおん)」、手作り豆腐や油揚げは「豆寿」、牛乳や菓子、アイスなどは「たけみるく・まーと」が販売。月に1度、4店が集まる日はマルシェのようなにぎわいに。オススメの調理法を教わるなど、店と住民の交流も生まれている。
訪れた住民同士で「〇〇さん、お久しぶり」「この間買った〇〇、おいしかったわよ」といった会話も。「地域の人が結びつく機会にもなれば。顔見知りが増えることで防災・防犯面にもいい」と副会長の光成佳世さんは話す。
売上の安定目指し
出店者同士で連携出店の話も持ち上がるなど、売上機会創出につながりつつある。一方で、移動販売は天候に左右され、経費もかかる。赤字が続けば継続できなくなる。「社会的事業ではあるが慈善事業ではないので、住民の方にもご理解いただきながら続けられたら」とマルカマの狩野真実さん。光成副会長も「お願いして来てもらっているからには、住民に周知して利用してもらい、安定した売上を確保したい」と語った。
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