胸痛、息苦しさ、足の痛み、高血圧、不整脈に対応
胸痛、息苦しさ、高血圧、不整脈、足の痛みやむくみに不安や悩みを持つ方、特にシニアの方は多いのではないでしょうか。「まずは内科かな。しかし、本当は何科にかかればいいんだろう?」という声が多そうです。
東戸塚記念病院の循環器内科部長で、循環器学会専門医、心血管インターベンション治療学会(カテーテル治療の学会)専門医の資格を持つ進士(しんじ)和也医師は「こうした症状がある方は、まず循環器内科医にご相談を」と呼びかけます。
循環器内科とは?
循環器内科の診察・治療は、大きく3つに分かれます。
〇(首以外の)血管の閉塞の改善 〇不整脈 〇高血圧などの生活習慣病
血管の閉塞の改善
それではまず、血管から見ていきましょう。進士医師によると、体の循環(血液)の元になるのが心臓。その心臓につながる血管は3本ありますが、血管が細くなることで発症するのが狭心症です。
- 重いものを持ったり、坂道を登ったりすると、息が苦しくなる。
- 数分休むとおさまる。
男性だと60代くらいから、女性だと70代くらいから増えますが、最近は30代~40代の方も多くなっています。
東戸塚記念病院では、緊急性の有無を判断するため、採血、レントゲン、心電図、心エコーで異常を確認します。緊急性がない場合は、造影剤を使って冠動脈CTで心臓の血管を診ます。患者さんにベルトコンベアの上を実際に走ってもらい心電図の変化を確認することもあるそう。
緊急性がない狭心症の場合は、心臓の3本の血管のうちのどれが、どのように細くなっているのかをより詳細に診断するため、心臓のカテーテル検査へ。結果次第でまず投薬のみでいくか、カテーテル手術をするか等を検討します。
カテーテル手術とは?
カテーテル手術は、2から3ミリくらいの中が空洞になった管(ストローのようなもの)を手首、肘、足のいずれかの動脈に入れていき、狭くなっている部位(動脈硬化)を風船で広げたり、ステントと呼ばれる金属の筒を設置するのが一般的とのことです。
進士医師はカテーテル手術について「切開をしない手術のため、患者さんの負担が軽いことが特徴。当院では二泊三日で入院する患者さんが多いですね」と説明。手術時間は通常1~2時間程度です。2023年の東戸塚記念病院の心臓のカテーテル手術は約190例。それ以外の部位の手術は約100例。計約300例となります。
血管が硬くなり石灰化する動脈硬化は、従来の風船では広げられないことがあるといいます。東戸塚記念病院が近々導入予定の新たな治療法は、風船に衝撃波がついており、石灰に亀裂を与えることができるように。「現在の治療法は、石灰のカスが奥に飛んでいったり、血管が破れたりするリスクはあります。新しい治療法はさらに安全性を高められる期待がありますね」と話します。
「カテーテル手術はかなりの歴史があり、医療機器は精度を上げ続けています」とした上で「特に気を付けてほしい症状は胸痛。この場合は直ぐに受診を。特に急性の心筋梗塞にはどれだけ短い時間で治療ができるかがポイントになります」と進士医師は呼びかけます。
また、カテーテル手術は、歩くと足が重くなる下肢閉塞性動脈硬化症、足が壊死することもある重症虚血肢、こうした足の血管が狭くなることで発症する病状の治療にも有効です。
不整脈と高血圧症
次に不整脈と高血圧症を見てみましょう。不整脈は、治療を必要としないものと、命にかかわるものがあると、進士医師は説明します。脈が遅くなり、失神をする場合はペースメーカーを入れる検討をします。
高血圧症は、健診で分かったり、別の科で高血圧と診断されて分かることが多いそう。まず、高血圧の原因が動脈硬化によるものか判断します。そして塩分制限などの栄養指導を行います。それでも改善しない場合は投薬となります。
24時間365日対応
東戸塚記念病院の循環器内科は常勤医師の5人体制。24時間365日対応をしています。また、総合病院のため、他の科の医師と連携をとりながら治療にあたれるメリットがあります。
医師と患者は対等
進士医師は、三重県出身。高校生のときに医師をめざし、名古屋大学医学部に進学します。2年間の研修医時代、循環器疾患という命にかかわる、切羽詰まった状況の中で治療にあたる先輩医師に感銘を受け、循環器内科医師の道へ。
大切にしていることの1つは「医者と患者は対等」ということ。「患者さんは私にとって病気を治療するパートナーです。専門用語などを使わず、分かりやすく病状を伝えるよう心がけています。患者さんにしっかり説明して、一緒に治療法を考えるのが私のめざす医師の姿。何よりも信頼関係が大切です」と話します。
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