このレポートは、タウンニュース茅ヶ崎版2015年4月17日号で掲載された記事を加筆・修正したものです。
「子どもたちが『ほっとする』メッセージを届けたい」―。
茅ヶ崎市出身のイラストレーター・絵本作家のヨシタケシンスケさん(41)が、このほど3冊目の絵本『りゆうがあります』(PHP研究所・税抜1,300円)を出版しました。
「爪やストローをかじったり、貧乏ゆすりをしたり…子どもがついやってしまう『クセ』には、ユーモア溢れる理由がある」という物語は、脱力感ある可愛らしいタッチの絵柄ながら、独自の視点が生かされています。
「親は子どものクセを叱ってしまいますよね。親にもクセがあるのだから、目くじらを立てずに付き合って欲しい。その余裕こそ、本来親子関係に必要だと思うんです」と話します。
茅ヶ崎市浜須賀に生まれ育ったヨシタケさん。家庭文庫を開き、読み聞かせを行っていた母の影響で、絵本は身近な存在だったそう。幼い頃から工作も好きで「特撮ヒーローに出てくる怪獣や小道具を作ってみたい」と夢を抱き、浜須賀小・中、茅ヶ崎北陵高を経て筑波大学・大学院に進学。造形を学び卒業後はイラストレーターとして活動し、広告用の造形制作にも携わってきました。
父親になり、絵本の道へ
幼い頃から大好きだったからこそ、手を出せずにいた絵本の分野。挑戦のきっかけは、2人の息子が生まれ、父親になったこと。
「息子たちの姿を見て『自分もこんなことを考えていたな』と少年時代を思い出すことが多くて」。
そんな日常が創作のヒントとなり、2013年に初出版した絵本『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)が「第6回MOE絵本屋さん大賞第1位」を受賞。絵本作家としても道が開けました。現在は児童書や週刊誌コラムの挿絵なども手掛け、個展なども行っています。
「大人は子どもに目標を持たせようとしますが、目標が無いとダメだというのは残酷だと思う。昔からネガティブな自分も描くことで救われてきましたし、もっと『大丈夫だよ』と子どもたちを安心させたいんです」と話しました。