「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」
これはかの天才発明家、トーマス・エジソン残した名言ですが、ビジネスのシーンでも新しい価値を生み出すとき、ひらめきは必要不可欠な要素です。
- そんなひらめきを生む場が、藤沢駅南口徒歩5分にあります。
不動産会社の「セット」が運営するレンタルオフィス「ミラボ」(藤沢市鵠沼石上)の1階部分に2022年7月に開業した「イノベーションスナックみらぼ」。お酒が楽しめる会員制のスナックでありながら、最大の特徴は起業や新規事業の立ち上げを支援するインキュベーション機能を備えている点です。
「インキュベーション」とは、英語で「卵などがふ化する」という意味。 これになぞらえて起業家の育成や、新しいビジネスを支援する施設を「(ビジネス)インキュベーション」と呼びます。
薄暗い照明にベロア生地の赤い椅子。壁にはウイスキーボトルが並び、店内にジャズが流れるいかにもスナック然とした佇まいの店内に、夜7時過ぎになるとお客さんが次々と入ってきました。客層はスーツ姿のビジネスマンだけでなく、公務員やアーティスト、子育て中の女性などさまざまです。
- 特徴は、起業を助言できる中小企業診断士やさまざまな職種の先輩起業家が「ママ」としてカウンターに立つ点。有識者であるママが思考を整理する「壁打ち相手」になること。来店者のニーズに応じて、会員の起業家同士をつなげたりもします。
訪れる人の多くが、「他分野の仕事の人と意見交換してみたい」「新しい事業に取り組むのに相談に乗ってほしい」というマインドのため、隣に座った人との会話も自然と弾みます。お客さん同士やママが名刺交換するのは普通のスナックでは珍しいかもしれませんが、ここではいつもの光景です。
また、好評なのが先人起業家による講座。コンサルタント、建築士、ベンチャー企業社長、NPO代表、グラフィックデザイナー、中小企業診断士など多彩な経歴を持つママがテーマごとに業界の裏舞台や最新のトレンドなどについてざっくばらんな雰囲気の中で語ってくれます。
江ノ島電鉄経営管理部課長の関口純さんが登壇
1月中旬、この日のテーマは「湘南地元企業と一緒に考える、まちの地域課題とふじさわイノベーション~江ノ島電鉄が直面する課題や悩み、取り組みを通じて、ビジネスの種を会社員と語ろう」。江ノ島電鉄経営管理部課長の関口純さんが登壇しました。
関口さんは、鉄道会社のビジネスモデルが時代に応じて変遷する中、現在は「移動手段そのものがコンテンツ化したり、地域のステークホルダー(利害関係者)と協働した賑わいづくりが求められている」と業界の現在地を解説。
観光地でありながら生活の足としても使われている同電鉄ならではの特徴を念頭に「地域、観光客、会社の三方良しのストーリーをどう作れるかが重要」といい、シェアサイクルやバスなど多様な交通手段を提供する同社の「湘南MaaSプロジェクト」を手掛けてきた経緯などを紹介しました。
この日、初めてスナックみらぼを訪れた旅行業の50代男性は「他分野の会社の取り組みをざっくばらんに聞けるのは貴重でとてもためになった。自分が住む地域にこういう場があるのはありがたい。また足を運びたい」と話しました。
藤沢を次代につなぐ「もっと良い街に」
「創業支援は将来に街に新たな産業を生み、街を活性化させる種になる。もっとこの地域を良くしたい」
スナックみらぼを生みだしたのは、セット事業担当部長の鈴木良隆さん。地元藤沢の出身で、これまで市内3件のシェアオフィスやものづくり拠点を手掛けてきた名仕掛け人です。
民間のインキュベーション施設は市内初。前職時代から新規事業開発を手掛けており、社会に変化を与えそうな人々を「酒場」という場所でつなぐことで「面白い発想を共有する場を作ろうと考えた」そう。
「製造業やIT、まちづくりなど多様なバックグランドを持つママが開店から1年半が経って今や25人。良い意味で『変な人』ばかり」と目を細めます。
まだまだ発展途上のひらめきの拠点、スナックみらぼ。鈴木さんはその魅力についてこう言葉に力を込めます。
「ここは職種を越えて『夢』を共有する場所。同業種だと同じ方向を向きがちでも異業種の人とざっくばらんに話すことで新たな発想も生まれやすい。ぜひ、多くの人に足を運んでもらえたら」
- 営業は火曜から土曜の午後7時から11時(土曜日は10時まで)。
- 利用は会員制で専用サイトでメンバー登録。チャージ(席料)は1,000円(おつまみ付)で、定額の飲み放題プラン(基本セット2,000円・+ビール2,500円・ソフトドリンクのみ1,500円ほか)。
- 詳しくはみらぼホームページ(https://snack-melabo.com/)へ。
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