城下町、宿場町として栄えた小田原。その伝統を今に受け継ぐ「老舗」も小田原の魅力です。今回は、地元で愛され続ける店舗をご紹介。ここでは、おみやげの「小田原まると」をレポートします。 ※掲載情報は2024年3月現在のものです。最新の情報は各店舗にてご確認ください。
小田原駅と共に100余年、旅人を迎え続ける
梅干し、かまぼこ、干物に寄木細工―。所せましと並ぶのは店主が厳選した小田原箱根の逸品。満州やアジアへのミカンやリンゴの輸出業を営んでいた初代・穂坂米吉が、大正9年(1920)に小田原駅の開業に合わせ、駅前に丸登旅館を開いたのがお店の歴史の始まりです。
私鉄乗り入れや新幹線開通など駅の変化とともに、昭和30年代にみやげもの屋へ。しかし、いつの時代も変わらないのは旅人を温かく迎えるまごころです。
- 3代目の穂坂肇さん。「旅の思い出と一緒に、小田原箱根の名産品をぜひおみやげに」
店舗の奥や2階には旅館時代の名残も。黒くて重い鉄製の扉は、宿泊客の貴重品を預かっていた金庫室の出入口。厚さ約20㎝のコンクリートで囲まれており、現在は冷蔵庫として使っています。
初代・米吉が貿易商時代に使っていた革製トランク(松坂屋製)。貼られているステッカーにはManshuHotel 満州旅館の文字も。
こちらも旅館時代の道具。宿泊客用の下駄に「丸登」の焼き印を付けるための焼きごて