横須賀高校出身の映画監督、松倉大夏氏が手掛けたドキュメンタリ―作品『ちゃわんやのはなし─四百年の旅人─』が公開されている。
松倉氏は現代美術家の両親のもとに生まれ、義父も美術家。哲学を学んでいた大学院を中退し、20代半ばから映画界に身を置いてきた。
今回が初監督作品。鹿児島県の薩摩焼をテーマに、日本と韓国の陶芸文化の交わりの歴史、伝統の継承とは何かを浮かび上がらせることに挑んだ。
薩摩焼の陶工たちは朝鮮にルーツを持つ。豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に、西日本の諸大名が朝鮮人陶工を連れて帰ったとされている。420年以上続く陶芸家の名跡、沈壽官家もそうだ。研鑽を重ね作品が評価を得る一方、偏見と差別の中で家業を守り抜いてきた。第15代沈壽官も幼少期に苦しい経験をしており、日本人の定義や自身のアイデンティティに悩んだ。故郷を想い未来を見つめる視線の先にあるものは何か──。
JR東中野駅近くの「ポレポレ東中野」で上映中。横浜シネマリンでも近く上映予定。