箱根町は6月4日、2023年の入込観光客数が前年比112・4%の1951万人となったと発表した。23年は新型コロナウイルス感染症が5類に移行した。また、水際対策の終了や円安もインバウンド増に影響した。
神奈川県が23年に実施した旅行需要喚起策の「いざ、神奈川!」や「かながわ鉄道割」の効果もあり、宿泊客は前年比114・1%の393万8千人で、コロナ前の水準の87%まで回復した。このうち外国人観光客は34万4千人で前年の約8倍に増えたが、18年と比べると57・7%にとどまる。対18年比で中国(香港、台湾除く)からの宿泊客は約10万人減少していた。
日帰り客の回復も好調で前年比111・9%の1557万2千人。コロナ前の水準の93%だった。
月別では、仙石原すすき草原や紅葉が見頃になる11月が前年に続き最大入込で201万人超。また、サクラの開花による訪日需要の高まりもあり4月の入込観光客数は前年比で約50万人増の167万人超。23年の増加分の約4分の1は4月に集中していた。
観光需要の変化
(一財)箱根町観光協会の佐藤守専務理事によると、団体旅行が減り個人旅行が増えるトレンドがコロナ禍を経てさらに加速しているという。「会社のマインドも変わり、社員旅行やインセンティブツアーは戻ってこない。しかしそれを悪いこととは判断していない。町が策定した観光プランでも人数を増やすことではなく、付加価値の高いサービスを提供することを重視している」と話す。一方で「外国人など高単価の旅行客ばかりに受け入れを注力していては、若年層の国内旅行客は離れていく」として、将来的な観光客にアプローチするためのブランディングやマーケティングにも注力する考えを示した。
勝俣浩行町長は「箱根駅伝は3年ぶりに沿道での応援が認められるなど、多くの催しがコロナ前の形で開催できるようになった。ようやく見えてきた明るい兆し。この軌道に乗ってしっかり観光地づくりに取り組んでいきたい」と話した。