2024年度から横浜市立の小・中学校などで連絡ツールアプリ『すぐーる』が導入されました。
聞けば、欠席の連絡やおたよりなどのプリント類の配布といった家庭と学校間のやりとりをスマートフォン上で行えるのだとか。「え、それってものすごく便利なのでは…?」。昨年ようやくスマホデビューを果たした記者は、人一倍アプリの便利さを実感している最中。一方で、「私のようなアナログ人間でも使いこなせるのか?」という疑問も…。
ということで、このアプリを積極的に活用している丸山台中学校(港南区)へ話を聞きに行ってきました。
(取材日/2024年7月1日)
【目次】
◎連絡ツールアプリ「すぐーる」とは?
◎保護者が実感。ここが便利!
◎PTAの負担が大幅減!アプリの活用方法を伝授
◎先生たちの働き方改革にも!
◎こんな使い方もできます
◎より便利なシステムにしていくために
連絡ツールアプリ「すぐーる」とは?
まずは、このアプリの主な機能をご紹介。
- 欠席・遅刻の連絡
- おたよりのデジタル配信
- 行事やイベントの出欠などアンケート機能
- 自動翻訳機能を搭載(英語、中国語、韓国語、スペイン語、タガログ語、ネパール語など13言語に対応)
実際学校ではどのように活用されているのでしょうか?
保護者が実感。ここが便利!
話をしてくれたのは同校PTA本部役員のみなさんです。どうやら保護者としても、PTA役員としても、その便利さを実感しているようで…。
欠席・遅刻の連絡がスマホで完了
- 記者が一番気になったのが、欠席・遅刻の連絡機能。今までは欠席の電話をしようとしても、「人気チケットのコールセンター?!」と思うほどつながらない。朝の連絡時間帯は決まっているし、通勤時間の合間をぬって電話するのが本当に大変でした。
これがアプリを開き、「欠席」や「遅刻」ボタンを押し、理由などを選んで送信するだけでOKに。より詳しく先生に伝えたいことを書きたい人は、備考欄もあるので安心です。
おたよりがタイムリーに届いて、いつでもどこでも見られる
ランドセルの底からくしゃくしゃになったおたよりが発掘されたり、既に申し込み期限が過ぎている出欠票を見て青ざめたり…。学校からのおたよりってタイムリーに保護者のもとに届かないんですよね(泣)
すぐーるを使うようになってからは、おたよりが紙ではなく添付ファイルでスマホに送られてくるようになったため、その問題も一挙解決です。「通勤途中でチェックできて助かる」「もうプリントをなくす心配もない(笑)」と大絶賛。
部活動の連絡に活用
息子さんがサッカー部に所属しているという副会長の馬場美樹さんは、「今までは紙で配布されていた練習日のお知らせや遠征の日程、試合会場までのアクセスなども、データでスマホに送られてくるようになりました」と話してくれました。
PTAの負担が大幅減!アプリの活用方法を伝授
PTAの業務効率化にも一役買っているそうで「他の学校でもぜひ活用して欲しい」と、アプリの便利な使い方を教えてくれました。
プリント地獄からの解放
「今年はすぐーるを活用して書面総会の資料一式をデータで送ったので、本当に楽でした」と笑顔で話してくれたのは、会長の須藤憂さん。
- 記者もPTA役員をやっていたので、総会の資料づくりの大変さは知っています。膨大な数のプリントを印刷して、ページごとにまとめて、ホチキスでとめて、クラスの児童数ごとに数えて束ねて…と、本部役員を総動員して1日かがりでも終わらない大仕事でしたから。これは大きいですね!
- 承認・否認もボタン一つで完了するので、名前を書いて捺印して…は不要に。
アンケートの集計から名簿作成までお任せ
そして、「なんといっても便利なのがこれ」と教えてくたのが、アンケート機能です。
これまでPTA主催のイベントの参加募集は、プリントでお知らせ→切り離した出欠票をこどもに渡す→先生が回収→PTAに渡すという手間がありました。
「球技大会の豚汁づくりのお手伝いしてくれる人を今回初めてアンケート機能を使って募ったのですが、募集のお知らせから集計まで全てアプリ上で完結。集計と同時に参加者名簿も自動ででき、当日の資料も参加者だけにデータ添付して送りました」
「学校にわざわざ来なくてもデータの確認や情報発信ができるようになったので、作業負担が大幅に減ったと感じています。PTAの担い手不足の解消にもつながればいいですね」
先生たちの働き方改革にも!
市立学校でシステムを統一
今回のアプリ導入は、学校側のメリットも。これまで家庭と学校との連絡手段は、学校ごとに異なるシステムを採用しており、電話連絡を基本とする学校や、個別で有料・無料のアプリを使っている場合もあったそう。小・中などきょうだいで異なる学校に通う際はシステムを使い分ける不便さなどが生じていました。
統一システムにすることで、教職員が異動時に別のシステムを覚え直すことが不要に。また、プリントをデータ化して配信することで印刷や配布の手間を省くことにもつながっています。
部活の報告もタイムリーに
「試合の結果報告や遠征先から帰る時間を、その場からタイムリーに保護者に送れるのがいいですね」
保護者への連絡もスムーズ
- 紙の配布からデータ配信へ
「データ配信だと同じ時間に同じ情報を届けられる。連絡事項や配布物を直接保護者に届けられるのが大きなメリットです」
- 電話連絡からアプリのメッセージへ
「以前は電話連絡がメインだったのですが、保護者が仕事中などだと行違ってしまうことも多くて…。すぐーるで個別にメッセージを送ることができるようになってからは、情報伝達がスムーズになりました」
三者面談の日程調整に活用
「今後三者面談の日程調整にも活用したいと思っています」と先生たち。これまではおたよりを配布して、各家庭から希望日が書かれた表を回収。それを1人1人確認しながら調整していたので、ものすごく時間と労力がかかっていたそう。「すぐーるの日程調整機能を活用すれば、保護者はスマホの画面の日程表の空き状況を見ながら予約が取れるようになり、先生たちも大変な日程調整が不要に。大幅な業務改善が進められると思います」
こんな使い方もできます
リマインドを活用
また、一度送ったメール(おたより)をリマインドメール(再通知)できることも、すぐーるならではの活用法の一つだとか。
同校では、今年の教材費の入金に際し、支払いを終えたらアプリ上で入金完了のボタンを押すようにお願いしたそう。期日半ばに全体に、さらに期日直前に未入金の家庭だけを抽出して、合計2回リマインドメールを送信。結果、未入金率が激減し、先生たちの連絡負担を減らすことができたそうです。
タイムラインを使って写真を送信
1、2年生の自然教室、3年生の修学旅行で旅先から生徒たちの様子を写真を送ったところ、保護者たちに好評だったそう。
より便利なシステムにしていくために
保護者からは「欠席・遅刻だけでなく、体育の見学やちょっとした先生への連絡などもこれでできるといいんだけど…」というリクエストも。横浜市教育委員会の担当者は、「今年の4月に導入したばかりのシステムですので、現場の声を聞きながら、より便利になるよう機能を追加していきたいと思っています。今後は各学校の活用事例も共有できれば」と話していました。
- 取材中、みなさんが口を揃えて「このアプリ、もっと早く欲しかった~!!」と叫ぶほど、操作もシンプルで視覚的に分かりやすく、便利なシステムだと実感。日々「子どもたちのために」と奮闘する保護者と先生たちの双方の負担軽減、しいては子どもたちと向き合う時間を増やすため、今後も利用が広まればと思いました。