この連載は月1回、「ふたまたがわ歯科口腔外科」の中谷逸希院長が気になるお口のあれこれについてわかりやすく解説してくれるコーナーです。
今回は最近話題の「口腔機能低下症」についてお話しします。
口腔機能低下症とは、年齢とともに「食べる」「話す」「飲み込む」といった基本的な口腔機能が衰えてしまう状態を指します。この状態になると、食べ物をうまく噛むことが難しくなり、食事を楽しむことができなくなるだけでなく、必要な栄養を十分に摂取できないことがあります。
これにより、栄養不足や体力の低下が進行し、結果的に全身の健康状態が悪化してしまいます。さらに、この機能低下が進行すると、生活の質が大きく低下し、健康寿命の短縮にもつながる可能性があります。気付かないうちに進行していることもあり、注意が必要です。
口腔機能低下症の診断には、さまざまな検査が行われます。例えば、舌の圧力(舌圧)、唾液の分泌量、噛む力(咬合力)などを評価するために、歯科医院で専門の機械を用いた測定が行われます。これにより、現在の口腔機能の状態を正確に把握し、早期に問題点を発見することが可能です。
検査の結果に基づいて、舌のトレーニング、嚥下(飲み込み)や咀嚼(噛む)などのリハビリが提案され、患者さまが日常生活で快適に食事や会話を行えるようにサポートします。定期的な歯科検診とリハビリを続けることで、口腔機能を維持・改善し、健康な生活を長く続けることができます。