トヨタの技術者が次世代を担う子どもたちに“ものづくり”の楽しさと大切さを伝える『科学のびっくり箱!なぜなにレクチャー』が2024年11月10日(日)に松林公民館で開催されました。全国各地で開催されている大人気の科学工作教室の様子をレポートします。
大人気の科学工作教室が茅ヶ崎・松林公民館で開催
日本の“ものづくり”を牽引する企業・トヨタが、次世代を担う子どもたちに“ものづくり”の楽しさと大切さを伝えるために開催する『科学のびっくり箱!なぜなにレクチャー』。
茅ヶ崎市ではこれまでに2回開催されており、2024年11月10日(日)には松林公民館でも開催されました。毎回人気を博している科学工作教室の様子をレポートします。
これまでに茅ヶ崎市で開催したTOYOTAの科学工作教室
手作りハイブリッドカー@鶴嶺公民館
お魚ロボット@茅ヶ崎市青少年会館
“ものづくり”のエキスパートと二足歩行型ロボットを作る
『科学のびっくり箱!なぜなにレクチャー』ではトヨタが企画する9つのオリジナルプログラムが用意されており、今回、松林公民館で行われたのは『二足歩行型ロボットを作ろう』。茅ヶ崎では初開催のプログラムです。
二足歩行型ロボットと言えば、巨大な人型ロボットが悪い敵を倒したり、未来からやってきた猫型ロボットが助けてくれたり…アニメなどにも登場するので、子どもたちにとっては親しみやすいはず。ただ、二足歩行型ロボットがすでに身近で活躍しているわけではないので、まだ未来のものという印象があるのかもしれません。
講師の金田さんは「実は江戸時代にはからくりを使ったロボット・茶運び人形が存在していた」と紹介。子どもたちは茶運び人形が実際に動く様子をみて、どんな仕組みでロボットが動くのかを理解することから教室はスタートしました。
ものづくりには正しい工具の使い方が大切
ロボットが動く仕組みを学んだら、いよいよ本題のロボットづくり。
まずはロボットの手足となる穴の開いたプラ板を決められた大きさにカットしていきます。プラ板をカットするためにニッパーを使うのですが、「硬くてうまく切れない」という子どもたちがチラホラ。そんな時は講師が「ここを握ると力が入りやすいよ」「ニッパーの刃の向きをきちんと確認しよう」と使い方を示しながら丁寧にサポートしていきます。
親世代にとっては当たり前のように使っていた工具であっても、今の子どもたちはニッパーを初めて使うということも珍しくないそう。進行を担当した講師の冨高さんは「ものづくりのために正しい工具の使い方を覚えることは大切です。子どもたちが工具を使うことを心配される方もいると思うのですが、誤った使い方をすると怪我の危険があるということも含めて、実際に体験することでその大切さも学んでほしいです」
「ビスなどの細かい部品を止めるのが大変だった」と子どもたちが言うように、ところどころ小学生高学年では難しいと思われる作業もあったようですが、1時間ほどで全員が最後の工程に。最後の仕上げはそれぞれが選んだロボットの顔と“TOYOTA”のシールを貼り付けて、二足歩行型のロボットが完成となりました。
ロボットを改良しながら難関課題に挑戦
無事に二足歩行型ロボットを完成させた子どもたち。完成までに工具の使い方をはじめ、様々な気付き・学びがあったことでしょうが、やはりロボットは動かしてこそ。完成したロボットを使って講師が用意した課題に挑戦していきます。
課題は全部で4つあり、“転ばずにその場で足踏みできるか”・“倒れずに20㎝歩けるか”、“ロボット相撲に勝利できるか”、“15秒で50㎝進めるか”。実は組み立てただけではすべての課題をクリアするのが難しく、個々のロボットに合わせた微調整が求められているのです。
子どもたちは最初の課題こそ楽々クリアをしていきますが、“ロボット相撲”、“15秒で50㎝進めるか”の課題はロボットが思った通りに動かず、苦戦した様子。「滑り止めの位置を工夫してみようか」「ロボットの重心を変えてみようか」と講師からアドバイスを受けて、『どうしたらもっとロボットの動きが良くなるのか』とあれこれ改善を試しては何度も課題に挑戦していました。
冨高さんは「今回参加した子どもたちだけが課題に苦戦したわけではありません。課題を簡単にクリアしてもつまらないし、『どうしたらうまくいくのか』を考える力を養ってもらいたくて、敢えて難しい課題にしています」
“ものづくり”の体験を大切にしてほしい
トヨタには“ものづくりは人づくりから”という理念があるそう。
「今の子どもたちの興味がプログラミングなどに向いていることは理解していますが、そうしたソフトウェアも最終的には“もの”があってこそ。まずは、子どもたちに“ものづくりの楽しさ・大切さ”に気付いてもらいたいです」と冨高さん。
松林公民館の担当者も「公民館では地域の中学生や地元の協力を受けて様々な講座を開催しています。今後はトヨタさんといった企業の皆さんにも協力をいただき、子どもたちの目線が広がっていくような講座を実施していきたい」と話しています。
子どもたちの理科離れが叫ばれて久しいですが、その要因の一つに“体験不足”があると言われています。今回の教室では、出来上がった製品を楽しむだけでなく、どういった仕組みで動いているのか、どうやったらもっとスムーズに動くのかを検証し、子どもたちにとって貴重な体験となったはず。
高齢化社会を迎えている日本では、介護分野などでロボットが大きな役割を果たすことが期待されています。今回の講座に参加して“ものづくり”を体験した子どもたちが、きっと未来のイノベーションを生み出すことになっていくのでしょう。
創意くふう展で茅ヶ崎市の中学生らが神奈川県知事賞などを受賞
夏休みの宿題の定番といえば、創意くふう展覧会。毎年、子どもたちの力作が並びますが、2024年度の創意くふう展覧会では茅ヶ崎市内の中学生・小学生が神奈川県知事賞をはじめ、様々な賞を受賞しています。
公民館や青少年会館などでは今回の科学工作教室のように様々な講座が開催されていますので、こうした機会を活用して、創意くふう展にも挑戦してみませんか。