朝から雨でした。大人にとっては少し面倒な日です。
傘を持って、荷物が濡れないようにして、足元にも気をつける。
できれば何事もなく目的地までたどり着きたい。
ところが、子どもは違います。長靴を履いた瞬間から目が輝いています。
まるで特別なイベントの日です。外へ出て数十秒。
さっそく第一の目的地を発見しました。
水たまりです。
当然、入ります。ためらいはありません。
バシャッ。さらにもう一度。
バシャッ。「濡れるよ」と言ったところで意味はありません。
すでに長靴は水たまりを探知する装置になっています。
次の水たまり。
また次の水たまり。
気づけば最短ルートではなく、水たまり巡りが始まっていました。
そのうち道路脇の排水溝から流れる小さな川を見つけました。
しゃがみ込みます。葉っぱを一枚拾います。そして流します。
「行った!」
葉っぱは小さな冒険家になりました。
流れていく葉っぱを見届けるため、こちらも動けません。
しばらくすると今度は別の葉っぱ。
さらに別の葉っぱ。
葉っぱレース大会の開催です。
雨の日は忙しい。
先へ進もうとすると、「あっ!」また何か見つけました。
今度はカタツムリです。
雨の日にしか会えない友達でも見つけたような顔をしています。
こちらは時計を見ます。子どもはカタツムリを見ています。
なかなか前へ進みません。
結局、その日も予定より少し遅れて到着しました。
帰り道。朝はあんなに大きかった水たまりが、少し小さくなっていました。
子どもは名残惜しそうに最後の一歩を踏み入れます。
バシャッ。
今日一番いい音がしました。
あなたが最後に水たまりに入りたいと思ったのは、いつですか。








