目的地までは徒歩10分です。大人だけなら。
子どもと一緒だと話は変わります。
ある休日、公園へ向かっていました。
家を出て30秒。さっそく足が止まります。道ばたの花です。
「見て!」しゃがみ込みます。観察が始まります。
まだ家が見えています。先が思いやられます。
なんとか再出発。
今度は電柱の下で停止。
何かと思ったらアリです。アリが一匹歩いています。
しばらく見守ります。応援まで始まりました。
「がんばれー!」
アリはたぶん聞いていません。
さらに進みます。
すると今度は石ころです。なぜか気に入ったようです。
拾います。ポケットに入れます。
宝物認定されました。
数歩進んで、また止まります。
今度は葉っぱ。
さっき石を拾ったばかりです。
コレクションの基準がよくわかりません。
そのうち近所の犬が通りました。
当然、立ち話です。犬と。
飼い主さんではなく犬と。
犬も少し困っているように見えました。
ようやく公園が見えてきました。
到着かと思ったその時です。排水溝に流れる小さな葉っぱを発見。
しゃがみ込みます。葉っぱを追加投入。
流します。「行った!」
レースが始まりました。葉っぱ対葉っぱです。
実況まで始まりました。
公園はもう目の前です。
でもまだ着きません。
結局、公園まで30分かかりました。
到着すると、子どもは満足そうです。
そして一言。
「今日は早かったね」
思わず笑ってしまいました。
帰り道。
ポケットの中には石ころが一つ。手にはいつの間にか拾った葉っぱ。
どちらも本人にとっては大切な宝物らしいのですが、何がそんなに特別なのかは最後までわかりませんでした。
でも、そういえば昔、自分も何かを拾って帰ったことがあったような気がします。
あれは何だったのでしょう。もう思い出せませんが。
あなたは子どもの頃、何を宝物にしていましたか。












