鎌倉市海水浴場 《戦後初の開設中止》 県ガイドライン実行困難

鎌倉市海水浴場 《戦後初の開設中止》 県ガイドライン実行困難

毎年多くの人でにぎわう由比ガ浜海水浴場

 鎌倉市は6月1日、「今夏は市内にある海水浴場の開設を断念する」と発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、海の家を完全予約制にするなど、県が開設条件として示したガイドラインを実行することが難しいと判断。現状では、海水浴場の設置を前提としたマナー条例が適応されないため、周辺の治安悪化や遊泳者の安全確保が懸念されるほか、持ち込まれたごみの処理方法なども決まっていない。

 新型コロナ感染拡大防止案として県は5月21日、海の家の完全予約制やソーシャルディスタンス(社会的距離)確保のため砂浜に一定間隔で目印を設置するといった事項を順守するよう求めるガイドラインを運営側に示した。

感染リスクを回避するのは難しい 

 これを受け市は、開設の是非について近隣の逗子市、葉山町とも協議。しかし、「実行のハードルは高く、緊急事態宣言解除後の第2波、第3波への懸念が残るなかで、感染リスクを回避するのは難しい」と判断し、市内各海浜組合に開設を断念する意向を伝えた。

海水浴は1876年に七里ガ浜で始まり 

 鎌倉市海浜組合連合会の増田元秀代表は「海水浴は1876年に七里ガ浜で始まり、広がった日本国民の生活文化。開設断念は戦後初めてで、当連合会としては歴史的大事件と捉えている」とコメントした。

 同日行われた定例記者会見で松尾崇市長は「断腸の思いで中止を決定した。遊泳者に対する十分な安全対策もできなくなるため、皆さんには来訪を控えていただきたい」と呼び掛けた。

マナー・警備が課題

 海水浴場の開設は中止となったものの、4月から閉鎖されていた海沿いの県営、民営6カ所の有料駐車場が6月1日から再開。緊急事態宣言の解除もあり、今後周辺の混雑が予想される。

 市は14年に、砂浜での入れ墨の露出や飲酒を控えたり、音響機器使用の禁止を求めるマナー条例を制定。ただ、海水浴場を開設しなければ条例は適応できなくなる。

ライフセーバーも不在 

 また、ライフセーバーも不在になるため、サーフィンなどマリンスポーツをする人と遊泳者の境目がなくなった海で互いに接触し、水上事故を起こすことも懸念される。

マナー条例を改正か

 そこで鎌倉市は、今夏限定で海水浴場が開設されなくても警備員の配置等が可能になるよう、マナー条例を改正する条例案を6月10日に開会する市議会定例会に提案する方針。

 昨年まで海の家「おとひめ亭」オーナーを務め、材木座海浜営業組合に所属する米澤勝之さんは「どれだけ対策しても感染の危険があることや仮に海の家を建てても赤字になるリスクもあるので、今年の中止はやむを得ない。ただ、遊泳者の安全確保はもちろん、海の家事業者と市が処理してきたごみをどうしていくかなど、問題は山積み」と指摘する。