古くから数々の映画人や文化人を輩出してきたまち、茅ヶ崎。そんな茅ヶ崎で2016年に立ち上がったのが、市民ボランティアによって運営されている「chigasaki kodomo cinema(以下、「ckc」)」です。こどもたちがストーリーを考え、こどもたちが演じ、こどもたちが撮影する全6回の映画制作プロジェクト。2023年は10月8日(日)に開催される「第3回ちがさきこども映画祭」での上映が予定されています。
今回こどもたちが撮影する映画は、なんとホラー映画!さらには神奈中バス協力の下、コミュニティバスえぼし号をまるまる貸し切って撮影するそう。そんな話を聞いてワクワクがどうにも抑えられなくなった筆者は、撮影当日の様子を密着取材することにしました。
撮影開始まであと2時間!大事なのはやる気と集中力
好天に恵まれた9月10日(日)朝8時、集合場所の会議室ではこれから撮影に臨むこどもたちとckcスタッフの打ち合わせが行われていました。
朝のあいさつは、ckcの共同代表でありニックネーム“ジャッジ”こと西村誠さん。「今日はついに撮影の日です。みんな、やる気と集中力を持ってきたかー!?」との声掛けに、こどもたちも自然と気が引き締まります。
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集合してすぐに打ち合わせ。朝8時とは思えぬ気合の入りよう。
この後の撮影に向けて準備万端!と思いきや、みんなどこか慌てているような…?それもそのはず、なんと絵コンテを全員で見るのは今日が初めて(!)。撮影開始の合図となるコミュニティバスの到着まで、タイムリミットは2時間弱。全員でページをめくりながらストーリーや台詞、シーンに込めた監督の意図を一つひとつ確認していきます。
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監督の細川千秋くん(10)。絵コンテに表しきれないイメージを、悩みながらも自分の言葉で直接みんなに伝えます。
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「ここにまっくろな画面を入れたい!」というカメラマンの提案で、シーン切り替え時に暗転のカットを入れることに。聞いている大人も真剣です。
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最初に撮影するバスのシーンを重点的に確認。果たしてどんな映像になるんでしょうか。
「みんなは学童に来た時、どんな挨拶をする?」「この話って全部同じ日の出来事なの?」。大人からこどもへ確認が入ったかと思えば、台詞合わせの場面では「その笑い方はちがうよ!」「片方の口だけニヤっとして!」など、大人に向けてこどもからも厳しい演技指導が入ります。繰り広げられるやり取りは、まさに映画の制作現場そのものといったところ。
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演技に悩みながらも少しずつ手応えを感じ始めた様子。
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一方こちらは撮影機材のレクチャー。初めて触る本格的なカメラに興味津々です。
慌ただしく過ぎた朝のミーティング。体感時間はあっという間です。それでも「これなら何とか撮れそうだ!」とスタッフは安堵の表情。さあ、いざ本番。みんなで表に出てバスの到着を待ちます。
時間通りにバスが到着!さあ撮影の始まりだ!
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午前10時にバスが到着!撮影地となるサザンビーチ横の空き地へ全員で向かいます。このバスは、この日のためだけに貸し切った特別便。移動中のみんなは緊張も相まってそわそわしっぱなし。
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撮影に臨む監督に今の気持ちを聞くと「怖いし緊張する…!」。でもその後すぐに「ジ〇リ映画を超えます!」との大胆な発言が。
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到着して一安心…ではなく、ここからが本番。すぐに撮影位置の確認が始まります。
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「ベンチとバス停(手作り)をこういう風に並べて、ここにバスを付けてもらおう」
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運転手さんのさすがの技術!停める位置もばっちりです。
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記念すべき最初の撮影はバス停のベンチでバスを待つシーン。
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監督とカメラマンが画角を調整している横で、役者の3人も役作りに集中。
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シーンやカット数をカチンコに書き込んで…
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よーい、アクション!
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カットしたらすぐさま確認。映像だけでなく音声の録音状況も重要なチェックポイント。
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車内での撮影の様子。外と違ってカメラの角度や位置取りが大変!
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監督のカメラを覗き込む姿がだんだん板についてきました。
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次のシーンの撮影のためにバス停を移動します。スムーズな撮影のために周りのスタッフも監督をしっかりフォロー。
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短い距離でも役者たちはバスに乗って移動。車内の冷房で火照った体を冷やします。
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カメラを覗き込む眼差しはとっても真剣。機材の扱いも慣れてきました。
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このシーンは三脚からカメラを外して手持ちで撮影。あれ?そこからだとカメラマンの足が映っちゃうんじゃない…?(でもOKテイクになりました(笑))
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疲れの見え始めた役者3人。それでもカメラが回れば演技モードにスイッチオン。
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バスを使った撮影も残すところあとワンカット。満足いく映像は撮れたかな?
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最後は協力してくれた神奈中バスのお二人にみんなでお礼。「映画作りがんばってね!」返ってきた温かい言葉にこどもたちの顔もほころびます。
コミュニティバスでの撮影を快く引き受けてくれた神奈川中央交通株式会社 茅ヶ崎営業所の福澤行一さんは「話を頂いたとき、一体どんな映画を撮るんだろうと思ったらホラー映画と聞いてびっくりしました。見慣れているコミュニティバスが、スクリーンでどういう風に映るのかがとても楽しみです。市民の皆さんにも、ぜひ普段と違うえぼし号を見ていただきたいですね」と語ってくれました。
撮影の合間にはこんな裏話も。「バスの運転手さんって、実はみんなシャイなんです。社内で今日の撮影について募集したんですが全然手が上がらなくて。最終的には指名させてもらったんですが、今日参加している運転手さんも朝からずっと緊張しているみたい(笑)」
6つの飲食店がコラボレーション!特製ロケ弁で体力回復
バスを使ったカットは予定時間内になんとか撮り終えましたが、映画全体で言えばまだまだ序盤。腹が減っては戦ができぬと、みんなでお昼休憩を取ることに。午後の撮影に向けて英気を養います。
ここで参加者に配られたのは、「まちのロケ弁」と書いた紙で包まれた特製のお弁当。
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まちのロケ弁。持ち上げるとずっしりとした重みを感じます。
このロケ弁は、ckcの活動に賛同した市内の飲食店6店が1品ずつ詰めてくれたもの。メニューの組み合わせもこの日限りの、普段ならお目にかかれない奇跡のコラボレーション弁当です。
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「炭火焼酒場ピカピカ」の玉子焼き、「昭和居酒屋ゆず」のミートボール、「とり介」のナポリタン、「とりや瀧」のちくわの磯部揚げ、加納食堂の「唐揚げ」、「Que(ケ)」のしらすご飯。大人もこどもも大好きな(もちろん筆者も大好きな)料理がぎっしり。
筆者もちゃっかり頂いてしまいましたが、どの料理も本当に美味しい!なによりタンパク質豊富なメニューの数々は疲れている体にぴったり。撮影でへとへとになっているであろうこどもたちのことを考えてのチョイスだったのでしょうか。飲食店の皆さんからの愛を感じた一幕でした。
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ご飯粒一つ残さず完食!満足げな表情がロケ弁の美味しさを物語っています。
ckcの一行は、場所を変えてこの後も引き続き映画撮影。聞けば今日だけで全てのシーンの撮影を終わらせるそう(!)。でもそんな心配をよそに、周りを見ればそこには元気に走り回るこどもたち。一つの作品を創り上げる楽しさは、疲れを吹っ飛ばすくらいのパワーがあるのかもしれません。この後の撮影の成功を祈りつつ、撮影現場を後にした筆者なのでした。
みんなに「こわっ!」ってなってほしい
午前中の撮影を無事に終え、ひと息ついたところの監督 細川千秋くん(10)にお話を伺いました。
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カメラを向けると、撮影の疲れを感じさせない笑顔を見せてくれました。
細川くんがckcに手を挙げたきっかけは何だったのでしょうか。「将来はゲーム実況系のYouTuberになりたくて、動画編集の勉強のために参加しました。今日は実際に撮影してみて、動いている人を追うときにどうしたらフレームアウトしないかとか、色んな勉強をすることができています」
午前中の撮影で印象に残ったシーンは「バスにみんなで乗り込むシーンです。カチンコを鳴らしたときに、みんながすぐに整列してくれた。自分が出した号令で撮影がスタートして、監督ってこんな気分なんだなって思いました」
最後に、観客に向けてメッセージをお願いすると「みんなに「こわっ!」ってなるような怖い作品にします!楽しみにしててください!」と元気よく答えてくれました。こどもたちの撮影した映画は10月8日(日)に開催される「第3回ちがさきこども映画祭」でお披露目されます。この日はなんと、一般の方も入場無料で見に来ることができるそう。概要については下記を参照しつつ、ckcのFACEBOOKに詳細が掲載されているので併せて確認を。
第3回ちがさきこども映画祭
日 程 2023年10月8日(日)
上映時間 ①8:00~ ②14:00~ ③15:30~
会 場 ①イオンシネマ茅ヶ崎 ②③Cの辺り Coworking & Library
入場料 無料
※上映後それぞれ20分程度の舞台挨拶があります。
※イオンシネマ茅ヶ崎の回に参加される方は、7時45分に売店前へ集合してください。
関連ページ
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第12回茅ヶ崎映画祭
コミュニティバスえぼし号
Cの辺り Coworking & Library