節分の日のことです。今年も鬼がやってきました。
もちろん本物ではありません。大人が頑張って演じる、あの鬼です。
ところが子どもは意外と冷静でした。
「鬼だ。」それだけです。
豆を投げます。逃げません。泣きません。
むしろ少し楽しそうです。
昨年はあんなに泣いていたのに。成長したものです。
ところが翌日。スーパーで事件は起きました。
入り口近くに大きな招き猫の置物がありました。
子どもはそれを見るなり固まりました。
動きません。
「どうしたの?」と聞くと、
「あれ、こわい。」
鬼は平気だったのに。
招き猫です。福を呼ぶ側です。
こちらは笑いをこらえるのに必死です。
さらに別の日。
近所の歯医者さんの前を通りかかりました。
入り口には大きな歯の模型があります。
今度は全力で後ずさり。
「いやだ。」「なんで?」
「見てる。」
確かに見ています。歯ですから。
しかし追いかけてくることはありません。たぶん。
またある日は、ゲームセンターの前で動かなくなりました。
原因はパンダの乗り物です。お金を入れると動くやつです。
笑っています。むしろ愛想は良い方です。
でも怖いらしい。
基準がまったくわかりません。
鬼は大丈夫。
招き猫はダメ。巨大な歯もダメ。笑顔のパンダもダメ。
子どもの世界には、大人の知らないルールがあるようです。
そういえば自分も昔、なぜか怖かったものがあった気がします。
暗い廊下だったか。夜のトイレだったか。テレビの何かだったか。
思い出せそうで思い出せません。
先日、その招き猫の前を通った時のこと。少し立ち止まったあと、子どもはそっと近づきました。
そして一言。「今日は大丈夫。」
どうやら和解が成立したようです。招き猫も少し安心したかもしれません。
あなたが子どもの頃、なぜか怖かったものは何でしたか。











