京急富岡駅から商店街をひやかしながら8分ほど歩くと、富岡の鎮守である「富岡八幡宮」にたどり着きます。富岡八幡宮は1191年に源頼朝が摂津国難波の西宮の恵比寿を勧請して創建されたそうです。1227年に八幡大神を併せ祀り、社名も八幡宮と改めました。地域住民だけでなく遠方からお詣りに訪れる人もいる、有名な神社です。
津波から村を守った「波除八幡」の異名も
- 富岡八幡宮は別名「波除八幡」とも呼ばれています。
1311年の大津波の際に、全く被害を受けなかった富岡村の人々は、八幡宮の加護によると考えてより信仰を篤くしたのだとか。以来、「波除八幡」と呼ばれるようになったといいます。ちなみに東京深川の富岡八幡宮(深川八幡宮)は、波除八幡と呼ばれた富岡八幡宮の分霊を祀ったのだと伝えられています。
富岡が埋め立てられる前は、富岡八幡宮がある八幡山の周りは海で、富岡海岸は海水浴場としても有名でした。現在、富岡八幡宮の入り口付近に「金波楼跡」の碑があります。金波楼は地元の人々が出資して、1885年に日本で初めてといわれる株式会社組織の割烹旅館として誕生しました。木造の2階建てで、海水を引いた生けすの魚を出す料理が評判になったといいます。
富岡七ケ町の神輿が圧巻 富岡八幡秋季大祭
富岡八幡秋季大祭は9月の下旬の週末に行われます。このお祭りは、秋の収獲に感謝し更なる収獲を期するもの。生き物に限らず色々な恩恵を受けて得た収穫を神に感謝し、更なるご利益を祈ります。
大祭の前夜に行われるのが宵宮祭です。大祓の神事で詞を奏上して、二座の神楽を奉納します。その後、富岡七ケ町の万灯神輿が神社を出発、町内を渡御します。
- 大祭当日は、富岡八幡宮で湯立神楽の奉納が行われます。
その後、七ケ町の大御輿が京急富岡駅前に集合し、盛大な連合渡御が行われます。地域全体が一体となる〝富岡の一番アツい日〟です。
横浜市無形文化財 800年以上続く神事「祇園舟」
7月上旬に富岡八幡宮で行われる「祇園舟」は、800年以上にわたり継承されている特殊神事で、横浜市無形文化財の第一号にも指定されています。
富岡八幡宮と並木の船だまりでの神事の後、2艘の和舟が潮の良い沖まで行き、茅舟に1年分の罪穢れを託して沖合遠くへと流します。クライマックスは2艘の木造和船の競漕です。流した罪穢れからいち早く逃れるため、力を尽くして舟を漕ぎます。
富岡八幡宮/金沢区富岡東4-5-41(京急富岡駅から徒歩8分)