副業はもちろん、複数の職業を持つパラレルキャリアが当たり前になりつつある時代。商売の世界でも、さまざまな業態を展開する企業は多くあります。横浜市鶴見区の京急鶴見駅前、鶴見銀座商店街の中ほどにある、木曽屋もその一つです。
今回は、不動産賃貸・管理業をはじめ、生活用品販売店、レンタルルームに料理教室から、子育て支援、コミュニティ冷蔵庫といった地域貢献事業まで、幅広く手がける木曽屋に潜入。多業態に広げた真髄に迫ります。
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18代目!?の老舗物販店がルーツ
木曽屋の本社があるのは、京急鶴見駅前にある鶴見銀座商店街(通称=ベルロード)の中ほど。もともとのスタートは、生活用品を販売する物販店だったそうです。
代表取締役を務めるのは、中西英一さん。商店街の役員としても活躍する中西さんいわく、その歴史は「鶴見銀座商店街の物販店で最も古い」とのこと。
なんと、中西さんで18代目だそうです。
- 史料は関東大震災や鶴見空襲などで焼けてしまい、ほとんど残っていないらしいですが、少なくとも中西さんの祖父の、さらにおじいさんの時代から生活用品店を営んでいたとか。きっと旧東海道を歩く人たちの助けになっていたのでしょうね。
では、さっそく現代の木曽屋さんを紹介していきましょう。
【1】不動産賃貸・管理業・宅地建物取引業
【2】生活用品販売
【3】社会貢献事業
【4】レンタルルーム、レンタルキッチン、料理教室
【5】民泊事業(ヴィラサナハマ運営@沖縄)
【1】不動産賃貸・管理業
柱とする事業は不動産賃貸・管理です。
昔から大家さんとして貸し出しはしていたようですが、「借り主さんがより快適に、直接おもてなしがしたい」という思いから、2017年に宅地建物取引業の資格を取得。管理に特化した国土交通省の賃貸住宅管理業にも登録して業務を遂行しています。
現在はマンション3棟を管理。住居約50室とテナント賃貸も行っています。管理する一つで、2020年3月完成のビル・ラカンパーナ木曽屋には、保育園やカフェ、NPO法人事務所などが入り、ビルごと交流の場となるコミュニティを形成。単なる賃貸管理にとどまらず、新たな価値を創造しています。
この3月には生活用品店の入る第一ビルの建て替えも始まり、住居30室が増える予定(2021年2月末現在)。「地域に根付く温かい賃貸管理を目指していますので、お気軽にご相談ください」と中西さんは話しています。
【2】生活用品販売
続いて木曽屋を語るうえで忘れてはいけない、生活用品販売。少なくとも100年以上は続くお店には、鍋にやかんに食器など、暮らしの必需品を数千点取り揃えていました。
長年にわたり地域の暮らしを支えてきた店舗ですが、耐震強化などを目的としたリニューアルのため、ひとまず2021年3月16日で一旦閉店に。
完成は2023年1月を予定。生活用品の販売はそのままに、選び抜いた逸品を並べるセレクトショップスタイルに模様替えするといいます。
- 和の伝統や、古物商の資格をいかしたアンティーク品なども考えているとのこと。「イートインスペースも設置検討中」としていて、宝箱のようなお店になりそう。今からリニューアルが楽しみです。
【3】社会貢献事業
3つ目は社会貢献事業として位置付ける「子育て支援事業」「コミュニティ冷蔵庫」「福島県西会津町の風評被害払拭事業」の3つです。
子育て支援事業(2020年3月~)
木曽屋では、出産家庭に地域の企業らがお祝いとしてプレゼントを贈る「ウェルカムベビープロジェクト」を支援。ラカンパーナ木曽屋の入り口横に、おむつなども購入できる自動販売機を設置しています。
売上の一部がプロジェクトの支援金になる仕組みで、設置した2020年5月現在、ウェルカムベビープロジェクト史上、路上設置は初事例として注目を集めました。
コミュニティ冷蔵庫「フリーゴ」(2020年6月~)
コミュニティ冷蔵庫とは、食品(フード)ロス削減・フードシェアリングなどを目的に、個人や飲食店などが、余った食品や食材を自由に出し入れできる公共の冷蔵庫のこと。イギリスやドイツ、スペインなど欧州各国でも取り組まれ、環境や飢餓問題に対する一つの解決策としても期待されています。
イタリア語で冷蔵庫の愛称である「フリーゴ」と名付けられた木曽屋のコミュニティ冷蔵庫。ウェルカムベビープロジェクト自販機とともに、ラカンパーナ木曽屋ビルの入り口で毎日利用者を待っています。
設置した中西美里さんによると、毎日何かしら入れ替わっているとのこと。フードロス問題に取り組む個人や大学講師などからの問い合わせもよく来るそうです。今は2台目の設置を考えており、「全国に広げるのが夢」と話しています。
福島県西会津町 風評被害払拭事業(委託:2018年4月~)
東日本大震災による原発事故の影響で風評被害が尾を引く福島県。木曽屋では、中でも鶴見区の友好交流都市である西会津町から委託を受け、風評被害の払しょくを目指した事業を展開しています。
この事業を受けたのは、西会津町が鶴見銀座商店街のイベントに物産品販売ブースを出店したことが始まり。安全安心アピールのチラシ配布、物産品の販売支援や、そばまつりの開催などで支援を続けています。
【4】レンタルルーム、レンタルキッチン、料理教室
ラカンパーナ木曽屋ビルを活用した各種レンタル事業なども運営。新型コロナウイルスが流行した2020年には、「どこへも行けないけど、対策しながら少人数で楽しみたい」といったニーズから人気となっていました。いずれも京急鶴見駅徒歩3分、JR鶴見駅東口からも徒歩5分という好立地です。
レンタルルーム(定員12人/基本1時間1000円※その他応相談)
- 10坪の室内は、机やイスのほか、Wi-Fi(モバイルWi-Fi)、プロジェクター、プレイヤー各種、簡易キッチン、電子レンジやポットなどを完備。ビジネス利用から趣味の集まりなど、幅広く活用可能なレンタルルームとなっています。
ハンドメイド作家やアーティスト、インストラクターさんたちが、定期的にセミナーやワークショップ、教室などを開いているということです。
レンタルキッチン(定員10人/利用応相談)
- ガスコンロ、ガスオーブン、オーブンレンジ、調理道具と食器類一式が揃うレンタルキッチン。Wi-Fiあり。料理教室も可。大理石台もあるので、パン教室なども出来るとか。
自主事業として、西会津町のそばまつりも、このレンタルキッチンを利用して開催しています。
料理教室(不定期開催/希望日で調整可能)
- 「魚さばき」「そば打ち」「お菓子」「パン」など実施中。西会津町の師匠にそば打ちを学んだという料理研究家の美里さんが、主に講師を担当。生麦魚河岸で購入するイワシやアジなど、初心者でも扱いやすい魚を使った「さばき方教室」などが人気。
【5】民泊事業(ヴィラサナハマ運営@沖縄)
不動産事業をいかし、民泊も運営しています。場所は沖縄・宮古島(伊良部島)。
佐良浜港に面した一棟貸しの古民家型コンドミニアム「ヴィラサナハマ」。宮古島では最大クラスとのことで、20人程度まで宿泊可能となっています。
ヴィラ・サナハマ Villa Sanahama 〒906-0501 沖縄県宮古島市伊良部前里添227
tel. 0980-79-0109 HPhttps://villa-sanahama.com/
まとめ
- 不動産業から社会貢献、民泊まで、地域の中小企業として実に手広い木曽屋さん。「代々鶴見に住む鶴見っ子。まちの価値が高まり、みんなに愛してもらえることが一番」と語る中西さん。取材を通して、地域愛のあふれる面白い会社ということがわかりました。これからの活躍も期待したいですね。