えぼし岩やサーファー、里山など湘南・茅ヶ崎が持つ街の魅力がギュッと詰まった「#ちがすき」のアイコンをデザインしてくれた、地元を代表するキャラクターデザイナーのRyu Ambeさん(31)へ特別インタビュー!観る者を魅了するコミカルな絵柄を生み出すRyuさんは、礼儀正しく、ふんわりとした独特な世界観を持つ魅力的な方でした。
Ryu Ambe/キャラクターデザイナー
1989年茅ヶ崎生まれ・在住。ポップ、キュート、シニカルをキーワードに、独創的なキャラクターを世に送り出している。アパレルブランドや音楽フェスなどのコラボレーションをはじめ、街やホテルの壁画、ビーチストーンなど立体的な物への描写を通し、作品を発表し続けている。
コロナ禍でのデザイン。ハート(心)の中はえぼし岩、サーファー、里山に動植物などあえて”密”に
アイコンデザインはRyuさんにお願いしたいー。「#ちがすき」を運営する、タウンニュース茅ヶ崎編集室内でデザインを誰にお願いするか検討をはじめた時、1番に名前が挙がったのがRyuさんでした。「茅ヶ崎の魅力がギュッと詰め込まれたイラストを描いてほしい」と依頼したところ快諾をもらい、制作がはじまりました。
自然と共存する茅ヶ崎を表現
コロナ禍でのデザイン制作。Ryuさんは「世の中が良くなるには”愛”が必要」と、ハート(心)の中にたくさんの茅ヶ崎を埋め込みました。茅ヶ崎の海に浮かぶえぼし岩にサーファー、里山に動植物、そして街を明るく照らす太陽が大きく微笑み、自然と共存する茅ヶ崎が表現されています。世間では密を避けなければいけませんが、イラストではあえて密に。「気兼ねなく仲間とハグをし、語らえる以前のような生活に早く戻れるように」という願いも込められています。
ハンナ・バーバラのポップなキャラクターに心惹かれ
Ryuさんがイラストを描きはじめたのは、物心がつく前まで遡ります。ポップなアメリカのテレビアニメやユーモラスなキャラクターに心惹かれ、心が感じるままに真似て描いていたそうです。「トムとジェリー」を作ったハンナ・バーベラという2人のアニメーターを尊敬していて、ポップでクラシックな感じが「今でも好き」とほほ笑みます。
「この世界で勝負する」
そして時は流れ、創作活動をしながらアルバイト生活を送っていた20代前半。夢を追い続けるか迷っていた最中、これまでに描きためたスケッチブックを持ち藤沢にある画廊に飛び込んだのです。とんとん拍子に個展が決まり、大勢が彼の絵に心奪われました。笑顔の大輪が開く瞬間を見たRyuさんは、「この世界で勝負する」と心決めたのでした。いまではCA4LAやSHIPS、タワーレコード、LOFTなど多数のアパレルやショップとコラボ商品を発表。音楽フェス・サマーソニックの公式グッズも手掛けました。
令和のはじまりの「改元記念アートプロジェクト」でラスカ茅ヶ崎に壁画アート
実は、Ryuさんとタウンニュースのコラボは「#ちがすき」が初めてではありません。平成から令和へと年号が変わるタイミングで、「~茅ヶ崎の未来を描く~改元記念 アートプロジェクト」と題した特別企画を編集室で考案し、街のランドマークでもあるラスカ茅ヶ崎の協力を得て、同店の店内にRyuさんとともに巨大な壁画アートを完成させました。
巨大な壁画アートはRyuさんの真骨頂。得意とするアメコミ風のキャラクターたちが壁一面に登場し、カラフルに彩っています。床にある足型の上に立って壁画をバックに写真を撮ることで完成する仕掛けが施されており、「インスタ映え」するスポットとして人気の一角になっています。場所は、ラスカ茅ヶ崎3階中央付近に位置する階段下(ゴディバ近く)です。壁画は当面の間公開予定。
海、風、太陽など目に映るすべてのものからインスパイアされる
ビーチクルーザーにサーフボードを載せて、アトリエから海に繰り出していく。「絵を描くのは本当にエネルギーを使うので、そのバランスをサーフィンでとっている」と言います。アーティストではない素の自分に戻れる場所だといい、Ryuさんの顔が自然とほころんできます。
日常にスイッチできる場所であると同時に、創作意欲が掻き立てられるのも海。降り注ぐ陽光を浴びながら、波やうねり、風、気温、影、石など、そこに存在しているすべてにインスパイアされるといいます。「目に見えたものから派生して、形を変えて面白いものができあがる」。その瞬間を迎えた時は、いつだって胸が高鳴るとRyuさんははにかみます。
情熱とひらめき武器に、新たなチャレンジ
茅ヶ崎に暮らす人々にとって、Ryuさんの作品は馴染み深いのではないでしょうか。雄三通りやサザン通り、鉄砲道などにあふれる壁画アートは彼の作品で、サイクリングや街中を散策していると存分に彼の息吹を感じることができます。
茅ヶ崎で根を張り活動をしてきたRyuさんは、次のステップとして「グローバルな活動」をあげました。これまでも、メキシコやヨーロッパ、アメリカ西部、ニューヨーク、ハワイなどに住むように旅をしながら作品を発表してきました。コロナ収束後は「自分のアートをもっと広めたい」と持ち前の行動力を生かして、さまざまな土地に作品を送り出していくそうです。チャレンジをし続けるRyuさんの今後がとても楽しみです。