※2021年2月、ワーナーミュージック・ジャパンからメジャーデビューを果たし、4月7日にはメジャーデビュー作として配信EP「ONE-EP」をリリースした『SPiCYSOL(スパイシーソル)』。2020年11月に独占インタビューした模様をアーカイブとしてご紹介します。
ロック・R&B・レゲエなど多彩なジャンルを巧みに織りなし、「サーフ×シティミュージック」へと昇華させる4人組の新世代ハイブリッド・バンド『SPiCYSOL(スパイシーソル)』。新型コロナによる全国ツアー中止などを乗り越え2020年11月23日、9ヶ月ぶりとなる有観客ライブを茅ヶ崎市民文化会館で開催しました。「再始動」の地としてメンバーが都内から茅ヶ崎へ移住し、『From the C』と銘打ったライブへの思いと、今後について、前夜の熱が冷めやらぬ翌24日に独占インタビューしました。
■9カ月ぶりとなる有観客ライブのご感想は
KENNY 観客のみんなは立ったり声を出したりはできませんでしたが、そこにいるというだけで、歓声や身体の動きだけじゃない「通じ合い」を感じられ『ライブってこうだよな』と再認識させられました。僕らのファン層らしいアットホームなライブになりましたね。
PETE 拍手や存在だけでも熱さが伝わってきた。でも、やっぱり皆で声を出して身体を揺らすライブもしたいなとも思いました。
AKUN 文化会館は雛壇になっているから、マスク越しにも一人ひとりの表情も見えた。眼が笑っていることまでわかりました。
KAZUMA 観客が声を上げられないからこそ、自分で声を出して楽しめた。みんなが声出せない、動けないのも、かえって新鮮でしたね。
■今回、生中継の動画配信もありましたが
KENNY コロナをきっかけに、生配信のシステムが整ったのは良かった。妊娠や障害などがありライブに来られない方や地方在住の方にも届けられるから。でも、僕らは『音』を仕事にしているので、その魅力を伝えるのはやっぱり『生』には勝てないなと感じましたね。
■コロナ禍を経て変化は
KENNY 自粛になった直後は、何を伝えたら良いか分からなくて悩みました。正直曲を作れなかったです。
AKUN 「何ができるのか、何をしたらみんな喜ぶんだろう」とか、常に考えていました。今年の夏はサザンビーチに海の家が無かったから、キッチンカーを出したいとか思ったり。
新天地・茅ヶ崎で自前のフェスを
■メンバーが茅ヶ崎に移住されましたね
KENNY 僕、AKUN、PETEの順で引っ越しました。僕はずっと海沿いに住みたいと思っていて、鎌倉あたりで探していました。都内の家を退去するタイミングで、茅ヶ崎の知人から「庭にキャンピングカーあるから住むか」と提案され、居候させてもらったのをきっかけに「茅ヶ崎いいな」と。引っ越し直後に緊急事態宣言があり、都内に行く機会も減ったのでタイミングが良かったです。
AKUN 茅ヶ崎に住むご夫婦に「飲むのが好きなら茅ヶ崎が良いよ、良い店が駅前にいっぱいあるよ」と勧められて。
PETE 生まれ育ちが横浜なので、海が好きでした。自粛中は都内で引きこもっていると、曲作るアイデアも沸かなくなりますし、こっちに出てきて良かったです。空気感の良さも魅力的でした。
■茅ヶ崎の印象は
KENNY キャラの濃い人が多い。個人店も多く『人間ぽい街』だなと思いました。自然と協調している感じや、人の温かさが(故郷の札幌と)似ていますね。
AKUN 茅ヶ崎はシンプルに人との交流が好きな人が多い印象。西浜でサーフィンしている時、年配の方が「ユーチューブ聴いてるよ!かっこいいね!」と言ってくれたのはうれしかった。
KAZUMA 昨日食べたスリランカカレーがめちゃくちゃおいしかった。田舎出身なので田舎感あるのはいいな。ちょうどいい感じですね。
■ライブ名と新曲『From the C』に込めた思いは
KENNY 7年前のデビューアルバムが『To the C』。米西海岸の音楽に影響されていたこともあり、カリフォルニアとか、『C』にはいろんな意味を込めました。当時茅ヶ崎サザンCで写真を撮ろうという話もあったんです。その後茅ヶ崎に引っ越し、運命的なものを感じた。『From the C』には「再始動は茅ヶ崎から」という思いを込めました。新曲は、デビューから今日まで支えてくれたみんなへの感謝や、コロナで環境が変わっても頑張っている人への応援歌になればという思いがあります。
■茅ヶ崎で受けるインスパイアや今後の活動は
PETE 街を出歩くと、街中に流れている音楽とか波音から、アイデアが湧くことは多いですね。
AKUN 僕たちはライフスタイルと音楽は切り離せないと思っています。だからライフスタイルも発信していきたい。ビーチクリーンで拾ったプラスチックでアクセサリーを作る活動に参加したり、何かご一緒できることを考えています。そして、ゆくゆくは茅ヶ崎でフェスをやりたい。自分たちのつながりで、アパレル関係やサッカー選手など、いろいろな人を呼べたらいいなと思います。茅ヶ崎は子どもたちが多いから、サッカー教室とかもやって、幅広い年齢層で楽しめるフェスができたら。
KENNY 僕らの10歳くらい上のミュージシャンがフェスの土壌を作ってくれて、当時はミュージシャンからカルチャーを作るという流れがあった。今度は僕らの世代がカルチャーを作って面白いものを発信したい。フェスが成功して茅ヶ崎の活性化につながるような夢を描いています。
AKUN 茅ヶ崎市内に、まだ名前のついていない通りやビーチがないか、日頃から考えていますね。地名になるのが野望のひとつです。
【この記事はタウンニュース茅ヶ崎版(2020年12月11日号)掲載分を加筆・修正したものです】